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第八話(飼主)・31

第八話(飼主)・31

 確かに男子トイレの個室内にはお客様の姉がいた。しかし男子トイレって個室が2つしかないのか、不便だな。「それで、どうして私達は女3人で男子トイレの一つの個室に詰め込まれなきゃいけないのか、説明をよろしくお客様」「お客様?」お客様の姉こと、昨日うちの店に来たらしい女の子の顔に、私は見覚えがなかった。私の店の手袋を手にはめてたけど、これを渡したのは別の女の子だ。


「お店の人なんですか?」と、見覚えのない女の子は私に尋ねてくる。そんなことよりさっさとここから出たいんだけど、という仕草を見せながら、私はイエスと答えた。「昨日、友達が代わりに受け取ってきてくれて、私にくれたんです。役に立ってます」「どういたしまして」「私はそれがあるせいで困ってるんだけど?」と、お客様は不満の色を押し出している。


「どうして?」「どうしてでしょうかお客様」「とにかく!」お客様が大声を上げると、「あの……誰か入ってます?」と個室の外から男の声が聞こえてくる。「2人とも、まずはここから出ない? ここにいるのは非常識だと思うんだけど」「いいですよ。出ましょう」「…………」とにかく話を進めたくてしょうがないのか釈然としない顔のお客様、すんなり同意してくれたお客様の姉、そして私という3人はやっと男子トイレの個室から出た。「うおっ」すると洗面所で手を洗っていた大学生くらいの男の子が、私達を見て目を丸くした。ちょっとオーバーだな。男子トイレの個室から女が3人出てきたくらいで。「あの、どうして胸に豚を抱いてるんですか?」トイレから通路に出ながらお客様の姉が不思議そうにミニブタを見る。「ああ、この子はペット」「……はい?」首を傾げられても、これ以上の答えは出てこない。

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