僕的美学
人間は、大きく分けると二種類に分類される。
化け物と、そうでない者、
僕は、前者だ。
世間一般の人、つまり後者は、『それ』を恐れ
必死に身を隠し、仲間内でモメ、殺人が生まれる。
しかし、それは後者の中だけであり
数少ない前者は、その中に混じりひっそりと後者を食べていく。
とても簡単なことだ。
僕の家のリビングには、白くて四角い食事用のテーブルが
台所のカウンターにそっていくように置いてある。
その大きくも小さくもない四人用のテーブルの真ん中に黄色いランチョンマットがひてあり
その上には、細長く半透明な花瓶に入った赤いバラが一本常に置いてあった。
一年中綺麗な赤い色を身にまとい、誇らしげにたたずんいたから
僕は、ずっとバラは、枯れることの無い花なんだと思っていた・・・。
僕が小学一年の頃母が二こ下の妹をつれて一ヶ月あまり家に帰ってこないことがった。
母と妹が帰ってこなくなってきてか、バラの花びらが一枚一枚落ちたきた
二週間目には、丸坊主になって、頭を下にしてしまった
三週間目になると茎の部分が茶色っぽくなり水も濁ってきている
二日後には、こないだまで綺麗だっだ真っ赤なバラとは、
比べもにならないくらい萎み枯れてしまった。
学校から帰って来た時それを見て、バラも死ぬんだと言うことを知り
ただ単純に感動してしまた。
綺麗な『形』をしていた時よりも数万倍美しく見えたからだ・・・。
『死は、美の最終形態』だ。
次に日 母と妹が帰って、きてまたバラは、枯れなくなった。
僕は、普通じゃない
だから隠さないといけない
家族にも、友人と呼ばれる人々にも、
独りの時意外は、絶えず笑顔で必要ならば冗談だって言う
誰にも悟られてはいけない僕の中身
でも、知ってしまったら もう僕からは、逃げられな・・・。
僕が初めて人を殺したのは、中学一年の時だった。
入学式、長くて意味の無い校長の話も終わり
帰宅するため、数人の友人と下駄箱に向い、くだらない話を聞きながら歩いていると
色がはがれて、木がむき出しになっている職員室のドアの前で
生活指導員と思われる教員に説教されている女子生徒がいた。
どうやら身だしなみが悪かったらしい
髪をきれいにまとめ、これから葬式にでも行くような格好の女の教員がキーキーとわめいている
女子生徒は、それを聞いていないのかダラダラとした感じで相槌をうつ
僕たちは、そこをかるくチラ見しながら横切った。
「あら、一年生さようなら」
僕たちに気が付いた女教師が三角眼鏡のずれを中指で直しながら言ってきた。
それと同時に叱られていた女子生徒もこちらを向く
「さようなら」
それだけ言って僕たちは、その場を離れた。
ただそれだけだ、僕が彼女を気になりだした理由は。
初めは、彼女の名前が知りたくなた。
次は、どんな友人がいてどんな人が好きなのか知りたくなた。
どんどんどんどん彼女のことが知りたくなっていった。
世間では、これを恋と言うのだろうか?
僕には、わからない・・・。
ただ彼女を今以上に綺麗にしてあげたかった。
彼女は、日直の時、遅くまで学校にのこる、家は近いみたいで登下校は、いつも歩きだ。
彼女の帰り道は、途中両側を林に20mほどはさまれた狭いわき道を通る。
そこは、昼間でも薄暗く使用している人もあまりいない
街灯もないので、夜七時にもなれば真っ暗だ。
そして今日は、彼女が日直。
林の中で息を潜めて彼女がくるのを待つ。
暗闇で目立たないようにどこにでもあるような黒い服装で頭にパーカーをかぶり
あとを残さないように荷物は、最小限、手に1mほどの鉄パイプだけ・・・。
現在午後十九時三分前
予定どうりこの道を使う人は、誰もいなくなり、風でこすれる木々の不気味な音だけが聞こえる。
そこにジャリジャリと石がこすれる音が混じった
彼女だ・・・。
疲れた様子で少しふらふらした様子で歩いている
僕が隠れているのに気が付かないまま前を通り過ぎた。
音をたてないようにゆっくりと林から出て大きく鉄パイプを振り上げた
「・・・アッッッーーー!?」
濁った音と彼女のはぎれる声が重なって、この上なく美しいメロディーが聞こえた。
僕の足元のは、頭から血を出した彼女が眠るようにして横たわっている
彼女を優しく拾い上げ、もともと見つけておいた林の中の木材置き場に運び
彼女を待っている間に作っておいた木材のベット、その上に薄い布をひいて彼女を乗せた。
さて、これから彼女をもっと美しくしてあげなくては・・・。
彼女が着用してるもの全てをとり、ここに隠して置いた短いサバイバルナイフを取り出して
ゆっくりと顔に刃の先端を当てていく
彼女の白い肌が上から徐々に赤く染まっていった・・・・・・・・・・・・・
不意に小学生の頃に見たバラを思い出した。
僕の理想は、綺麗なまま美の最終形態であること
特に人間の女性は、それにちょうどいい。
最後に、バラバラになった彼女の元胃だったと思われる物にナイフを突き刺して壁にはり
僕の芸術品は、完成した。
翌日土曜日の昼間
「大変だよ!お兄ちゃんの学校の先生が殺されたんだって!!」
大慌てで妹が僕の部屋に乗り込んできた
「怖いわね〜二年担当の女の先生ですって!」
TVを見に行くと母親がせんべいを食いながら僕に説明してきた
なんでも、学校の近くの林の木材置き場の中で身体をバラバラに解剖され
まるでパーティーの飾りみたいに釣り糸などで固定された女の死体が
近くで遊んでいた小学生たちに発見されたらしい。
元の『形』に復元できないほどグチャグチャだったらしいが
近くに落ちていた鞄の中に身分証明書が入っていて持ち主は、昨日から帰ってないということで
この死体は、林の近くの中学校教師とだんていしたらしい。
TVで彼女のことが世間で奇怪殺人事件と報道されても
自分が犯人だとばれないだろうか、とは、考えたりはしなかった。
ただもう一度、芸術品を作りたいとは、思っている。