表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何もしてないのに評価が勝手に上がっていくんだが、誰か止めてくれ 〜能力測定で価値ゼロ判定された俺、なぜか要注意人物として囲われています〜  作者: 空城ライド


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/15

第8話 え? 俺、何もしてないんだけど?

 試験中止。


 その四文字が告げられた瞬間、

 訓練場は完全に沈黙した。


 煙は晴れている。

 怪我人はいない。

 だが――


 空気だけが、壊れていた。


◆ 公開の場で、評価が確定する


「……確認する」


 教官の声が、やけに低い。


「リオ」


 名前を呼ばれて、俺は反射的に背筋を伸ばした。


(怒られるか?

 ついに怒られるのか?)


「お前は、なぜ下がった」


 全員が、俺を見る。


 村の大人。

 役人。

 子どもたち。


 逃げ場はない。


 俺は、正直に答えた。


「……近いと、危ないかなって」


 ざわっ。


「事前に、暴発を予測していたのか?」


「……してないです」


 さらに、ざわっ。


「なら、なぜ“一人だけ”無事だった?」


 俺は、困った。


 困った末に、こう言った。


「……たまたまです」


 その瞬間。


 完全に空気が凍った。


◆ “たまたま”が一番ヤバい


「……たまたま?」


 誰かが、喉を鳴らした。


「いや……」

「それは……」


 教官が、ゆっくりと息を吐く。


「無意識下での最適行動……」


(違う)


「危険域を直感的に避けた……」


(違う)


「測定不能なのも、説明がつく」


(説明ついてない)


 俺は、思った。


(あ、これ

 何言っても悪化するやつだ)


◆ 敵、完全沈黙


 レオンは、まだ地面に座り込んでいた。


 顔が、真っ青だ。


「……そんな……」


 彼は、呟く。


「俺は、全部考えて……

 指示も出して……」


 教官は、レオンを見た。


 そして、静かに言う。


「考えすぎたな」


 それだけだった。


 それ以上の追撃は、なかった。


 だからこそ、重かった。


◆ フィン、最後の追い打ち(無自覚)


 沈黙を破ったのは、フィンだった。


「……やっぱり」


 小さな声だが、

 なぜか全員に聞こえた。


「“動かない”という判断が、

 最も高度だった」


 俺は、即座に言った。


「違う!」


 全員が、俺を見る。


「俺は、ただ……

 巻き込まれたくなかっただけだ!」


 正直な叫びだった。


 だが。


 フィンは、静かに頷いた。


「……その発想が、

 もう“次元が違う”んです」


 ――詰んだ。


◆ 評価、確定


 教官は、全体に向かって言った。


「結論を出す」


 嫌な予感しかしない。


「リオは――」


 一拍。


「測定不能ではない」


(え?)


「測定する側が、追いついていないだけだ」


(え??)


 場が、ざわめきから、

 どよめきへ変わる。


「今後、彼を

 “価値ゼロ”などと呼ぶことを禁ずる」


(ありがたいが)


「むしろ……」


 教官は、言葉を選ぶ。


「基準外だ」


(余計にやばい)


◆ 主人公、完全困惑


 試験は終了。


 解散。


 だが、誰もすぐには動かなかった。


 視線が、俺から離れない。


 怖い。

 純粋に怖い。


 俺は、フィンに小声で聞いた。


「なあ……」


「はい!」


「俺、何かしたか?」


 フィンは、真顔で答えた。


「“何もしなかった”ことです」


 俺は、天を仰いだ。


「……え?」


 その時、

 心の底から出た言葉が、これだった。


「……え?

 俺、何もしてないんだけど?」


◆ エピローグ(余韻)


 その日から。


 俺は――


価値ゼロ → 撤回


測定不能 → 再評価対象


要注意 → 扱い注意


という、

非常に面倒な立ち位置になった。


 俺の願いは、ただ一つだった。


(頼むから

 普通にしてくれ)


 だが、世界はもう、

 俺を普通扱いする気がないらしい。


 ――こうして。


 「価値ゼロのはずだった俺」の

 意味不明な日常は、正式に始まった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ