表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何もしてないのに評価が勝手に上がっていくんだが、誰か止めてくれ 〜能力測定で価値ゼロ判定された俺、なぜか要注意人物として囲われています〜  作者: 空城ライド


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/15

第4話 やらないことを選ぶ人

 翌朝。


 俺は、違和感に包まれていた。


(……視線、多くない?)


 昨日まで「空気」だったはずの俺に、

 今日はやたらと視線が刺さる。


 好奇心。

 困惑。

 そして――一部、尊敬。


(やめろ

 尊敬だけはやめろ)


 俺は、いつも通り一番端の席に座り、

 存在感を限界まで薄める。


 完璧だ。

 これで今日は平穏――


「リオさん!」


 ――違った。


◆ 盲信系、爆誕


 声をかけてきたのは、小柄な少年だった。

 俺より一つか二つ下。

 目が、やたらキラキラしている。


「……なに?」


 できるだけ低刺激で返す。


 すると少年は、拳を握りしめて言った。


「昨日の行動……感動しました!」


 ……何の話だ。


「列の最後に回る判断!

 歩調を合わせず、間合いを保つ動き!

 そして、あの“立ち続ける姿勢”!」


 全部、俺の中では

 面倒くささの集合体なんだが。


「……それ、違う」


 即否定。


 だが少年は、首を横に振った。


「いえ!

 あれは“やらないことを選ぶ”高度な判断です!」


(やらないのは合ってるが

 高度ではない)


「多くの人は、やらなくていいことを“やってしまう”。

 でもリオさんは違う!」


 違わない。

 俺はただ、動きたくないだけだ。


「リオさんは……」


 少年は、息を吸い、宣言した。


「“何もしないことで、場を支配する人”です!」


 ――やめろ。


 その言い方は、

 後々とんでもない誤解を生むやつだ。


◆ 主人公、必死に否定する


「違う」


「いえ!」


「偶然だ」


「偶然を再現できるのは、実力です!」


「楽したいだけだ」


「合理的思考!」


(くそ……)


 俺は、初めて思った。


(このタイプ、話が通じない)


「……名前は」


「はい! フィンです!」


 フィン。

 覚えたくなかったが、覚えてしまった。


「フィン、頼むから俺に近づくな」


 するとフィンは、目を潤ませた。


「……近づくな、ですか」


(あ、言い方間違えた)


「やっぱり……」


 フィンは、深く頷く。


「不用意に弟子を作らない慎重さ……!」


(違う!

 違うから!)


 俺は、頭を抱えた。


◆ ズレた味方は、敵より厄介


 昼休み。


 俺が一人で座っていると、フィンが隣に座る。


「……来るなって言っただろ」


「はい。

 でも“距離を保ちつつ側にいる”のが、最適だと判断しました」


(判断するな)


 しかも、周囲の視線がさらに悪化している。


「なにあれ……」

「弟子?」

「公認?」


(誰もそんなこと言ってない)


 フィンは、真剣な顔で言う。


「リオさんは、“動かないことで周囲を考えさせる”」


「考えさせた覚えはない」


「でも、みんな考えてます!」


 それが問題だ。


◆ 教官、誤解を後押しする


 午後の訓練。


 教官が、全体を見渡しながら言った。


「……一つ、注目点がある」


 嫌な予感しかしない。


「リオの周囲だけ、無駄な動きがない」


(だからやめろ)


「彼は、積極的に指示を出さない」


(出せない)


「だが、結果として集団が安定している」


(偶然)


 フィンが、小さく拳を握る。


「……やっぱり」


 やっぱりじゃない。


◆ 主人公の内心


 その日の終わり。


 俺は、布団に潜り込み、真剣に考えていた。


(まずい

 これは“変な味方”がついた)


 敵より厄介だ。

 殴れない。

 追い払えない。

 勝手に評価を盛ってくる。


「……俺は、ただ楽したいだけなのに」


 フィンの目は、本気だった。

 あれは、もう疑いようがない。


 そして俺は理解した。


 誤解は、否定すると強化される。


 最悪だ。


 翌日、俺の名前は

 「何もしないのにすごい人」

 として、小さく広まり始めていた。


 ――完全に、手遅れな方向で。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ