第29話 来なくていい人たちが来た
嫌な予感は、だいたい当たる。
しかも、
一番面倒な形で。
◆ 来訪者
昼過ぎ。
野営地の端に、
見慣れない一団が現れた。
装備が、違う。
雰囲気も、違う。
(……あ、
上の人たちだ)
現場の空気が、
一段、硬くなる。
◆ 上層部、挨拶だけで重い
「急な訪問、失礼する」
一番前に立つ男。
柔らかい口調。
だが、
逆らえない圧がある。
「報告は、
非常に興味深かった」
視線が――
俺に向く。
(見るな)
◆ 主人公、紹介される(簡略)
「こちらが、
リオです」
教官の説明は、
それだけ。
だが。
「……なるほど」
「彼が」
「噂通りだ」
納得されている。
(何も説明してないだろ)
◆ 現地確認(何もしない)
「では、
いつも通りで構わない」
上層部の男が言う。
「普段の様子を、
見せてほしい」
(俺、
普段から何もしてない)
俺は、
後ろに立った。
動かない。
喋らない。
焚き火を見る。
◆ 上層部の反応
……数分。
……十分。
何も起きない。
だが。
「……この“間”だ」
誰かが、
小声で言う。
「無理に場を動かさない」
「判断を急がせない」
(してない)
上層部の男が、
静かに頷く。
「……確かに、
安定している」
(俺じゃなくて
周囲が慎重なだけだ)
◆ 記録係の追撃(二度目)
サムが、
淡々と告げる。
「……本日も、
リオの行動変化なし」
「それで?」
「全体の判断速度、
低下」
「……だが?」
「判断精度、
上昇」
上層部の目が、
わずかに細まる。
◆ 主人公の内心
(もうやめてくれ)
心の中で、
何度もそう思う。
だが、
口に出すと――
意味が増える。
◆ 決定の気配
視察が終わる。
上層部の男が、
静かに言った。
「……これは」
一拍。
「現地だけで
留める話ではないな」
(やめろ)
教官が、
黙って頷く。
◆ エンディング
上層部が去った後。
現場の空気が、
一気に抜けた。
「……疲れた」
「何もしてないのに」
誰かが、苦笑する。
俺は、
木陰で座りながら思った。
(何もしてないのは、
俺だけだ)
この日を境に。
俺は、
“確認された存在”
になった。
次に来るのは――
移動命令だ。
もう、
予感じゃない。
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