第28話 報告書の中で俺は別人になる
実地研修、三日目。
大きな事故は、起きていない。
だが。
(……妙に、
空気が軽くないか?)
◆ 現場の雑談
休憩中。
隊の端で、
隊長格と補佐役が話している。
「……今回、
思ったより楽だな」
「緊張はするが、
無理をしなくて済む」
「事故も、
最小限で済んでる」
俺は、聞こえないふりをしていた。
(それ、
俺のおかげじゃないぞ)
◆ 報告係の仕事
少し離れた場所で、
記録係のサムが、
紙に何かを書いている。
量が、多い。
(そんなに書くことあるか?)
俺は、
気にしないことにした。
◆ 報告書の一部(読者視点)
【実地研修・中間報告】
・全体の事故率:低
・判断の拙速:減少傾向
・部隊内の緊張管理:良好
※特記事項
・後方配置のリオは、
全工程で位置変化なし
・発言は最小限
・異変時も介入せず
→結果として、
全体の判断が慎重になり、
被害を抑制
(本人:焚き火見てただけ)
◆ 解釈が一段上がる
サムが、
誰かに報告している。
「……はい」
「いえ、
本人は特別な行動は」
「……ええ」
通話が、終わる。
サムは、
小さく呟いた。
「……なるほど」
(何がだ)
◆ 現場と上層の差
隊長格が、
ため息をつく。
「上は、
満足してるらしい」
「……何が?」
「結果だ」
(それだけか)
「過程は、
どうでもいい」
その言葉が、
妙に重かった。
◆ 主人公の感覚
その夜。
俺は、
寝袋の中で考えていた。
(俺、
何か“したこと”に
なってないか?)
不安は、
少しずつ形になる。
◆ エンディング
翌朝。
サムが、
淡々と告げた。
「……上から、
追加の視察が入ります」
嫌な予感しかしない。
「理由は?」
サムは、
一拍置いて答えた。
「効果確認です」
(何の)
俺は、空を見上げた。
(ああ、これ)
(評価、
もう現場だけの話じゃないな)
知らないところで。
俺は、
“実証済みの存在”
として、
書類の中を歩き始めていた。
本話もお読みいただき、ありがとうございました!
少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、
ブックマーク や 評価 をお願いします。
応援が励みになります!
これからもどうぞよろしくお願いします!




