第27話 動いた方が失敗するらしい
翌朝。
外の空気は、思ったより澄んでいた。
(昨日は何も起きなかったし、
今日は平和だろ)
そう思った時点で、
だいたいフラグだ。
◆ 昼間の移動
部隊は、
予定されたルートを進んでいた。
視界良好。
足場も悪くない。
俺は、いつも通り後ろ。
荷物も軽い。
気楽だ。
◆ 判断ミスは小さく始まる
「……待て」
前方の一人が、声を上げた。
「地面が、
少しおかしい」
全体が、止まる。
覗き込む。
確かに、
地面が不自然だ。
(落とし穴系か?)
俺は、何も言わなかった。
知識もない。
判断材料もない。
◆ 焦る周囲
「……どうする?」
「迂回するか?」
「時間が押すぞ」
意見が割れる。
空気が、
少しずつ焦りを帯びる。
(こういう時、
だいたい余計なことする)
◆ 主人公、黙る
視線が、
一瞬だけ俺に向く。
(やめろ)
俺は、黙ったまま。
結果。
「……よし、
軽く踏んで確認する」
(やめろ)
◆ 小さな事故
踏み出した瞬間。
――ズズッ。
地面が、沈んだ。
「っ!」
完全に落ちるほどではない。
だが、
足を取られた。
「引け!」
周囲が慌てて引き戻す。
幸い、怪我はない。
だが、
空気が変わった。
◆ 主人公、何もしない(二度目)
俺は、
後ろで立っていた。
動かない。
声も出さない。
ただ、
全体が落ち着くのを待つ。
◆ 勝手な結論
「……やはり、
拙速だった」
「慎重になるべきだったな」
隊長格が、
ちらっと俺を見る。
(見るな)
「……リオが
黙っていた理由も、
分かる気がする」
(理由ない)
◆ 判断の修正
「全員、
迂回する」
決定。
時間は、少し遅れる。
だが、
安全だ。
結果として、
正解だった。
◆ 主人公の内心
(俺、
マジで関係ない)
だが、
誰もそうは思っていない。
なぜなら。
俺が何も言わなかった後で、
一度失敗し、
正解に辿り着いた
からだ。
(知らん)
◆ エンディング
昼休憩。
俺は、岩陰で座っていた。
「……今日も、
何かした扱いだな」
フィンが、小声で言う。
「はい」
(即答すな)
「でも、
被害が出なかった」
「それが、
一番です」
それは、確かだ。
だが。
被害が出なかった理由に、
俺が含まれている
というのが、
納得できないだけで。
この日を境に。
部隊は、
“動く前に一度止まる”
という癖を、
強く持つようになった。
そして、その癖は――
すべて、
俺の名前と一緒に
記録されることになる。
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