第26話 何も起きなかったことが事件
夜の野営地は、静かだった。
静かすぎて、
逆に落ち着かない。
(外って、
こんなに音少ないんだな)
◆ 見張りの時間
「交代だ」
低い声。
見張りが、
次の組と入れ替わる。
俺は――
当然、
見張りではない。
(やらせる気ないよな)
焚き火の少し後ろ。
いつもの位置。
◆ 小さな異変
その時だった。
――ガサッ。
草の揺れる音。
小さい。
だが、確かに聞こえた。
見張りの一人が、身構える。
「……何かいる」
空気が、張りつめる。
(あ、来たな)
◆ 主人公、何もしない
俺は、動かなかった。
声も出さない。
視線も、動かさない。
ただ、
焚き火を見ていた。
それだけだ。
◆ 周囲の過剰反応
「待て」
隊長格が、手を上げる。
「……全員、
不用意に動くな」
全体が、
一斉に動きを止める。
(俺のせいじゃないよな)
視線が、
一瞬だけ俺に向く。
(見るな)
◆ “何もしない”が効く
数秒。
十秒。
――何も起きない。
草の音は、
それ以上、しなかった。
「……獣か?」
「いや……
もういない」
緊張が、ゆっくり解ける。
◆ 結果だけが残る
「……被害なし」
「警戒のみで終了」
報告が、淡々と回る。
記録係が、
小声で呟いた。
「……リオ、
終始動きなし」
(だから何だ)
◆ 勝手な評価
隊長格が、
腕を組んで言う。
「……拙速に動かず、
正解だったな」
周囲が、頷く。
「下手に出たら、
逆に誘発してたかも」
「……冷静だ」
(俺、
焚き火見てただけだぞ)
◆ 主人公の内心
(これ、
俺がいなくても
同じ結果だろ)
だが、
誰もそうは言わない。
なぜなら。
俺が“いた状態”で
何も起きなかった
からだ。
◆ エンディング
その夜。
見張りが、交代を終えた。
誰も、怪我をしていない。
誰も、疲れすぎていない。
ただ一つ。
「確認事項」が、
一つ増えた。
・夜間、
異変あり
→ リオ同行
→ 何も起きず
俺は、寝袋に入りながら思った。
(……何も起きなかったのに、
評価だけ増えてないか?)
だが、
それを止める術はない。
外の世界でも。
何も起きない俺は、
“何かを止めた”ことにされるらしい。
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