第24話 出発前夜に考えること
荷物は、少なかった。
というより、
ほとんど用意していない。
(どうせ、
何もしないだろ)
服。
水筒。
最低限。
それだけだ。
◆ 家の静けさ
部屋は、静かだった。
いつもと変わらない。
なのに、
どこか違う。
(明日、
ここにいないんだな)
その事実が、
じわじわ効いてくる。
◆ 母との会話
「準備は?」
母が、声をかけてくる。
「……終わった」
少し間があって、
「無理しないでね」
俺は、苦笑した。
「無理、
しようがない」
母は、少し困った顔で笑う。
「それが、
あなたのいいところなんでしょう?」
(褒められてない)
◆ 逃げなかった理由
布団に座って、考える。
(なんで、
逃げなかったんだろうな)
逃げようと思えば、
方法はあった。
黙っていなくなる。
適当に理由を作る。
でも、しなかった。
理由は、
簡単だ。
(面倒だった)
それだけ。
◆ 諦めと覚悟の境目
怖くないわけじゃない。
知らない場所。
知らない人。
知らない状況。
でも――
(ここにいても、
結局、
自由じゃない)
それなら。
(場所が変わるだけ、
マシか)
それが、
今の正直な気持ちだった。
◆ フィンの訪問
夜、
控えめなノック。
「……リオさん」
「どうした」
「……一応、
挨拶を」
フィンは、いつもより言葉が少ない。
「明日から、
大変だと思います」
「……だろうな」
「でも」
一拍。
「リオさんは、
変わらなくていい」
俺は、少し笑った。
「変われたら、
こんなことになってない」
フィンも、少しだけ笑った。
◆ 主人公の本音
フィンが帰った後。
俺は、天井を見て呟いた。
「……どうせ、
後ろにいるだけだ」
今までも、そうだった。
これからも、そうだ。
それで、
世界が勝手に納得するなら。
(楽な方を選ぶ)
それだけだ。
◆ エンディング
外は、静かな夜。
星が、
変わらず瞬いている。
明日。
俺は、
ここを離れる。
理由は、
俺には分からない。
だが、
世界は知っているつもりらしい。
――何もしていない俺が、
必要だと。
その勘違いを抱えたまま、
物語は、
次の場所へ進む。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
明日からは1日1話の投稿となります。
ブックマークをして、続きを楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。




