第22話 後ろにいただけなんだが
その日は、少しだけ違っていた。
いつもより、人が多い。
(……増えてるよな?)
◆ 外部の人間
訓練場の端。
見慣れない服装の大人が、
数人立っていた。
「……視察ですか?」
誰かが、小声で聞く。
教官が、短く答えた。
「そうだ」
嫌な予感しかしない。
◆ 主人公の配置
「リオ」
呼ばれる。
「今日は、
後方で見ていろ」
(いつも通り)
俺は、何も言わず頷いた。
後方。
端。
指定された位置。
完璧だ。
◆ 小さなズレ
訓練が始まる。
外部の視線を意識してか、
周囲は少し張り切っていた。
「行け!」
「今だ!」
(張り切るな)
その時。
「……あ」
誰かの足が、もつれた。
連鎖的に、動きが崩れる。
小さな混乱。
◆ 主人公、何もしない
俺は、動かなかった。
指示もしない。
声も出さない。
ただ、
後ろで見ている。
数秒後。
混乱は、自然に収まった。
大事にはならなかった。
◆ 外部の反応
「……今のは?」
視察の一人が、低く言う。
「事故になりかけた」
「だが、
被害は?」
「……なし」
視線が、俺に向く。
(見るな)
◆ 教官の説明(誤解)
教官が、落ち着いた声で言った。
「リオは、
あの位置から動かなかった」
「それが?」
「結果として、
他が冷静さを取り戻した」
(知らん)
視察団が、静かに頷く。
「……なるほど」
(なるほどじゃない)
◆ 記録係の追撃
サムが、淡々と報告する。
「事故発生から収束まで、
リオの位置変化、ゼロ」
「発言、ゼロ」
「介入、ゼロ」
「……だが」
一拍。
「最終結果、安定」
視察団の空気が、変わる。
◆ 主人公の内心
(俺、
本当に後ろにいただけだぞ)
だが、
その言葉は、
誰にも求められていない。
◆ 視察団の結論
「……確認できたな」
年配の男が言う。
「噂は、誇張ではない」
「彼が“動かない”こと自体が、
場を安定させる」
(そんなわけあるか)
「これは――」
一拍。
「実地で試す価値がある」
(やめろ)
◆ エンディング
訓練終了後。
俺は、木陰で座っていた。
「……今日、何かしたか?」
フィンが、真顔で答える。
「いいえ」
よかった。
だが、続けて言う。
「だからこそ、
確認が終わりました」
(何の確認だ)
遠くで、
視察団が話し合っている。
嫌な予感が、
はっきりと形になり始めていた。
次に来るのは――
決定事項だ。
俺の意思とは、
関係なく。
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