表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何もしてないのに評価が勝手に上がっていくんだが、誰か止めてくれ 〜能力測定で価値ゼロ判定された俺、なぜか要注意人物として囲われています〜  作者: 空城ライド


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/17

第2話 やる気ゼロが誤解される

 価値ゼロ判定から一晩。


 俺は、たいへん大きな安心を手に入れていた。


(よし。もう期待されてない

 =何やっても怒られない

 =実質、勝ち)


 これはもう、人生の裏ルートに入ったと言っていい。


 そんな気分で向かったのは、翌日の「基礎実技確認」。

 要は、昨日の能力測定で分からなかった分を、動きを見て判断しようというやつだ。


 ……嫌な予感は、もちろんした。


 並べられた子どもたち。

 前に立つのは、昨日と同じ教官。


 教官は、手元の書類を見ながら言った。


「えー……昨日、測定不能だった者も含め、全員実施する」


 ちらっと、俺を見る。


 その視線には、はっきりと書いてあった。


(まあ、お前は参考程度な)


 よし。

 完全に空気。


 俺は心の中でガッツポーズした。


◆ 第一課題:直線走


「合図で、向こうの杭まで走れ。以上」


 シンプル。

 ありがたい。考えなくていい。


 他の子どもたちは、やる気満々だ。


「よーし、負けないぞ!」

「一番取る!」


(元気でよろしい)


 俺はというと、スタートラインの一番端。

 しかも半歩下がる。


(転ぶと目立つしな

 ほどほど、ほどほど)


 笛が鳴った。


 ――ダッ!


 みんなが一斉に飛び出す。


 俺は、遅れない程度に走った。


 本気じゃない。

 でも、サボってもいない。


 結果。


 俺は、ちょうど真ん中くらいでゴールした。


「……ふむ」


 教官が、メモを取る。


(よし。可もなく不可もなく

 完璧)


 ……のはずだった。


「今の走り、見たか?」


 後ろから、小声が聞こえた。


「え? ああ……リオのか?」


「無駄な力が一切入ってない」


 ――は?


「周りに釣られず、自分のペースを守ってたな」


 ――え?


 教官が、こちらを見る。


 いや、正確には、観察する目で見てくる。


「……焦りがない」


 俺は、目を逸らした。


(違う

 怖かっただけだ)


◆ 第二課題:障害物回避


 次は、丸太や縄を避けながら進む簡単なコース。


 ……簡単、とは言ったが。


 子どもたちは、だいたい引っかかる。


 縄に足を取られ、

 丸太にぶつかり、

 勢い余って転ぶ。


「うわっ!」

「いたっ!」


(あー……)


 俺は、コースを見て、考えた。


(真正面から行くと、危ない

 じゃあ……端っこ)


 誰も通っていない、ギリギリのラインを選ぶ。


 スピードは出さない。

 一歩ずつ、確実に。


 結果。


 俺は、何事もなく通過した。


「……」


 教官が、また黙る。


 さっきより、長く。


「今の、見たか?」


「え……あれ、ズルじゃないのか?」


「いや……」


 教官が、静かに言った。


「最短距離ではないが、最も安全なルートだ」


(違う

 たまたまだ)


「無駄な接触がない」


(怖かっただけ)


「……なるほどな」


 教官は、なぜか納得したようにうなずいた。


◆ 主人公、評価され始める(困惑)


 課題が終わり、全員整列。


 教官が、名前を呼んで簡単な講評をしていく。


「〇〇、勢いはあるが周囲が見えていない」

「△△、集中力に欠ける」


 順番が、近づく。


(頼む

 スルーしてくれ)


「……リオ」


 終わった。


 教官は、俺を見て、少し間を置いてから言った。


「動きは地味だが……」


(だろ?)


「状況判断が冷静だ」


(ちがう)


「無駄がない」


(やめろ)


「今後、注意して見る」


(やめて)


 周囲が、ざわつく。


「え? あいつ?」

「価値ゼロじゃなかったっけ」

「……意外と?」


 俺は、思った。


(まずい

 この流れ、非常にまずい)


 怒られない人生を送るはずが、

 なぜか目を付けられ始めている。


 その日の終わり、教官のメモには、こう書かれていたらしい。


リオ:

・突出はしない

・だが、常に最適行動

・測定不能なのも、納得できる


 ――納得するな。


 俺は家に帰り、布団に潜り込みながら、心の底から思った。


「……俺、目立たないようにしてるよな?」


 返事は、なかった。


 ただひとつ確かなのは――


 何もしていないのに、評価がズレ始めている

 という事実だけだった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ