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何もしてないのに評価が勝手に上がっていくんだが、誰か止めてくれ 〜能力測定で価値ゼロ判定された俺、なぜか要注意人物として囲われています〜  作者: 空城ライド


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19/25

第19話 記録される側になった

 その日、俺は一つだけ違いに気づいた。


(……人、増えてないか?)


 正確には、

 一人増えていた。


◆ 新しい人


「……リオ」


 教官に呼ばれる。


「今日から、

 こちらの者が同行する」


 紹介されたのは、

 眼鏡をかけた青年だった。


 無表情。

 手には、分厚い記録帳。


「……記録係のサムです」


 淡々とした声。


(嫌な役職だな)


◆ 記録の内容


「何を、記録するんですか?」


 俺が聞くと、

 サムは即答した。


「あなたの行動全てです」


(全部)


「歩く速度」

「立ち位置」

「発言」

「沈黙の時間」


 淡々と読み上げられる。


(やめろ)


◆ 主人公の反応


 正直に言うと。


「……楽だな」


 サムが、顔を上げる。


「?」


「俺、何もしなくていいんだろ?」


 サムは、少し考えてから頷いた。


「……はい」


 俺は、納得した。


(じゃあ、いい)


◆ 訓練開始


 訓練が始まる。


 俺は、いつも通りだ。


端に立つ


無理しない


何も言わない


 サムのペンが、動く。


「……記録中」


(言わなくていい)


◆ 周囲の反応(悪化)


 問題は、周囲だった。


「……見られてる」


「リオだけ、

 記録が付いてる……」


 空気が、

 さらに硬くなる。


(俺のせいか?)


◆ 記録係の無自覚爆弾


 休憩中。


 サムが、ぽつりと言った。


「……興味深い」


「何が?」


「あなたがいると、

 他の記録量が減ります」


(知らん)


「事故も、指示も、混乱もない」


「……理想的です」


(理想、低くない?)


◆ 教官の判断


 教官が、サムの記録を見る。


「……確かに」


「この班、

 異常に安定している」


 視線が、俺に集まる。


(見るな)


「やはり、

 同行は正解だな」


(正解じゃない)


◆ 主人公の小さな抵抗


「……あの」


 俺は、勇気を出して言った。


「俺、

 記録されるほどのこと、

 してないです」


 サムは、即答した。


「していないことを含めて、

 重要です」


(含めるな)


◆ エンディング


 その日の終わり。


 サムは、記録帳を閉じた。


「……本日の特記事項」


 嫌な予感。


「特になし」


 教官が、満足そうに頷く。


「よし」


(よし、じゃない)


 俺は、空を見上げた。


(何もしない

 =記録される

 =重要)


 もう、

 訳が分からない。


 だが、一つだけ確かなことがある。


 世界は、

 俺を“観測対象”として

 手放す気がない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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