第15話 休んでいるだけなのに評価される
その日の訓練は、正直に言って――
だるかった。
特別な理由はない。
いつも通りだ。
(動く理由がない
なら、休む)
俺は、そう判断した。
◆ 休憩、多め
「次の訓練まで、五分休憩」
教官の声が響く。
子どもたちは、すぐに座り込んだり、
水を飲んだり、話し始める。
俺はというと。
最初から座っていた。
(立つ→座る→立つ
これ、無駄じゃないか?)
だから、動かない。
目も閉じない。
ただ、ぼーっとしている。
◆ 周囲の反応
「……もう休んでる」
「早くない?」
「いや……」
ひそひそ声。
フィンが、小さく頷く。
「先に体力を温存する判断ですね」
(違う)
ミラも、真剣な顔で言う。
「次の動きを見据えてる……」
(見据えてない)
◆ 訓練再開
「よし、再開する!」
教官の声。
他の子どもたちは、
慌てて立ち上がる。
俺は、そのまま立った。
無駄な動きがない。
結果。
俺だけ、息が上がっていない。
……当たり前だ。
◆ 比較される地獄
次の訓練は、長時間の反復動作。
周囲は、徐々に疲れてくる。
「はぁ……」
「まだ続くのか……」
俺は、普通にこなす。
速くもない。
遅くもない。
ただ、止まらない。
教官が、俺を見る。
「……リオ」
嫌な予感。
「疲れていないのか?」
俺は、正直に答えた。
「……最初から、あんまり動いてないので」
沈黙。
◆ 教官の総括(誤解)
「……なるほど」
教官が、深く頷く。
「最初から消耗を抑えていたわけか」
(抑えてない
サボってただけだ)
「無理に全力を出さず、
持続可能な動き」
(楽しただけだ)
「これは、長期訓練では重要だ」
(そうなのか?)
◆ 模範にされる主人公
「全員、見習え」
やめろ。
「最初から飛ばすと、後半で崩れる」
(俺のせいにするな)
「リオのように、
“出力を抑える”意識を持て」
(抑えてない
最初から出してない)
周囲の視線が、
また一段、変わった。
(俺、またやったか)
◆ 主人公の限界
休憩時間。
俺は、木陰で一人座る。
「……俺、
頑張ってないんだけどな」
フィンが、少し離れた場所から言う。
「それが、強みです」
(強みじゃない)
ミラも、真剣に頷く。
「無理をしない判断……
私も、見習います」
(見習うな)
◆ エンディング
その夜。
俺は、布団の中で考えていた。
(休む
=評価
動かない
=模範
喋らない
=判断)
……じゃあ。
(俺、何したら
評価下がるんだ?)
答えは、出なかった。
ただ一つ確かなのは――
“普通にサボる”という行為が、
この世界ではもう存在しない
という事実だった。
明日もきっと、
俺は何もしない。
そして、
それはまた意味を持つ。
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