【断章:フィオ】希望
初めて討伐の日は、なんだか不思議な一日だった。
ウサギ魔獣があんなに寄ってくるなんて、普通じゃない。
ノアスさんの“声”が何か力を放ってるのか……それとも、ただの偶然?
魔石の脈も、やっぱり気になる。
あの流れの整い方は、どう考えても自然じゃない。頑固にこびりつく澱みまで、あんなにきれいに流すなんて。
でも、ノアスさんのせいじゃない。あの人は、そんなことをしない。
……たぶん。
ノアスさん、今日もよく喋っていた。
“声”が勝手に喋っているだけなんだけど……あれはあれで面白い。
つい笑ってしまう。
それに――あの“声”、最初の日より少しだけ滑らかになっていた気がする。
気のせい、かな。気のせいだといいけど。
明日は、一緒に討伐。三日ぶり、かな?
ノアスさん、まだ慣れてないし……。渡り人って、あんなにおっかなびっくりなんだ。
危険は少ないけど、気をつけないと。守ってあげないと。
……なんでだろう。
あの人のことを考えると、胸が少しだけ落ち着かない。
気のせい、かな。
もう、寝よう。明日は早めにギルドへ行って、もういちどあの魔石をじっくり見てみよう。何か気づくかもしれない。ノアスさんに、あの“声”の力について、何か新しい話ができるかもしれない。
明日も忙しくなりそうだ。




