第三話 学校改革
まずA田は母を学長にしました。経営アドバイザーという立ち位置のまま学校に出入りし、夫の死のせいで突然学長になてしまった母を熱心にサポートしているように振る舞いました。A田の計画通りだったのでしょう、彼は教員免許を持っていたので教師としても働き始めました。二十二才の若造ですから経営アドバイザーをしていた時のように先輩教師にアドバイスなんてしていたら反感を買います。ですから勤務後に飲みに行ったり、雑用を引き受けたりして人気を得ていたようでした。ここでも女性教師を誘惑していたようです。
一年で教員(特に女性)の信頼を得た彼は、副学長になりました。はたからみればそれは大抜擢でした。もちろん彼自身が母に持ちかけた話なのですが、そんなことは周りは知りません。学長が血迷って彼を副学長にしたのでは? なんていう話さえ出ました。勿論反対意見も出ました。彼は教員全員の給料を一・五倍に上げ、今まで対応していなかった、部活指導の時間にも残業代を当てました。これで文句を言う者はいなくなりました。
じゃあ一体財源は何かと不思議に思われたんじゃないでしょうか。
彼は制度を変えました。新しく寮を作りました。在校生の希望者は寮に入る事ができます。そして次年度からは高校のみ全寮制にしました。高校生の寮生はなんとあの有名私大、U学園大学やI学院女子大学の指定校推薦を受けることができます。よほどへまをしない限り進学できるという優遇でした。我が校は偏差値五十五程度でしたのにどこでそんな人脈を作ったのでしょうね。やはり女でも抱いたのでしょうか。