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はじまり

チャイムが鳴って、休憩は終了だ。

今日はカオルさんの資料作成をすることになっている。

眠たくなりませんように!なんてやる気ゼロな希望を抱いて私はフリスクを1粒口に含んで黙々とパソコンに向かっていた。


「野上さん!ちょっと困ってて、用事頼んでいいかな?」


営業のエース、係長の山下さんから声がかかる。


「あ!はい大丈夫ですよ。」


「この資料、今日中、地下の倉庫のどこかにあると思うから探してきてくれたら助かる。急なクレームに必要で・・・自分で探せばいいんだけど、今からお客さんとのアポがあって、どうしても会社戻って来れなさそうで。」


年上なのにいつも丁寧な敬語で話しかけてくる山下さんがメモを渡してくる。タメ口で指示を出してくるなんて相当の焦りを感じた。


「地下資料室ですか...わかりました。」


うちの会社が入っているビルの地下に古い資料を置く倉庫があるのは知ってるが、入ったこともないし、そう新しくもないビルの地下二階のどんよりした雰囲気は少し不気味でもあった。そこで探し物をしないといけないのは少し気が引けた。


「ごめんな、これ鍵!昔のミスで先方に謝罪行かないと行けないんだけど。これから別の約束もあって、時間的に直帰になりそうで、申し訳ない。ほんとに助かる!」


「はい、明日までに探しておきますね。」


「助かる!」


山下さん、私に頼んでくるなんて、相当焦ってるんだろうけど、でもあんなとこで探し物なんて本当に気が進まない...でも私にできることはやらないと。資料を作り終えて私はカオルさんに話しかける。


「カオルさん、すみません。よろしいですか?」


カオルさんはあんなキャラではあるが、考え事をしているときに人に話しかけられると苛立つことがあるのがわかる。感情がすぐ顔に出るのがわかりやすい。

10秒ほどして返答がある。


「何?」


やっぱり考え事していたようだ。


「あの、私山下さんに地下の倉庫で捜し物頼まれて、ちょっと出てきてもいいでしょうか?」


カオルさんが初めてこちらを見る。


「ヤマシタ~、部下に声かける前にうちに声かけろや、なんで頼みやすいやつにしか言わへんねん。男は可愛い若手と話したいんやんな。」


あー、機嫌損ねた。


「わかった、場所聞いた?社内やし大丈夫やろうけど、、あそこ暗いし気をつけや。」


無事に許可を得たのでエレベーターで地下におりる。いつもオフィス内にこもっていたので昼間に外に出るのは少し新鮮でもあった。

しかし、やはり築30年以上であるビルの地下二階は薄暗い。

入社時に案内されたのみの資料室はあまり人が出入りすることもなく、普段使わない資料を置いてある倉庫のような場所だ。


うーオバケでそう。


あっ、そんなこと思うんじゃなかった。怖くなってきた。


鍵を開ける。なかなか噛み合わないくらい劣化してしまっている。

さっさと資料見つけて戻ろう。


初めてじっくり入る資料室はかなり広々としていて、電気を付けても奥は窓のない地下独特の薄暗さがあり、埃っぽい。


「どこにあるのか全然わからない。」


独り言も少し響いて怖くなる。

電波はある。スマホ持ってきてよかった。


奥の方かな?と奥へ奥へ進む。


ガタッ


「何?!」


今、今物音がした?

冷や汗が出るとはこういうことなんだと感じるほど、背中に冷たい汗が出てくるのがわかる。


ネズミ?お、オバケ?

逃げる?

でも資料見つけてないし。山下さんあんなに困ってたし・・・

でも、こ、怖い!!!


あ、このファイルの色、この辺かも?

さっさと探して戻ろう。


「キャ。。」


その時黄色いような光が見えた。私は目を瞑る。

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