面接2
広々としたオフィスで俺は面接官と対峙する。緊張で汗が止まらない。脳内は真っ白になる。
心の中がまるで祭りでも始まったかのようにリズミカルなリズムが心音と伴い動き出す。
脳内に血が巡ると俺は思考を開始させる。
落ち着け、鈴木隼人。お前は変わるために来たんだろ!こんな序盤で怖気付いてどうする!
呼吸をゆっくりと整え、俺は山下さんと向き合う。
そう、
鈴木隼人17歳は本番に強いタイプである。
山下さんは俺の心の機変に察したのか。
「ほう」
と少しだけ感嘆する声が出る。
俺は笑顔を作り、できるだけハキハキと面接官の心に届くよう話す。
「私はやり遂げる力や向上心が人一倍強いと自負しています。小さい頃からピアノやギターを17年間毎日欠かさず練習しています。
VTuberという職業つきましては、こういったスキルは配信の際に発揮し、チャンネル登録者数を増やせることができます。
個人的な意見ですが、御社でご勤務なされているライバーは音楽性があることはもちろんですが、さらに上を目指すのは私のような音楽に長けている人材が必要ではないかと思います。」
一気に言い終えると俺は山下さんの表情を伺う。
山下さんは依然と最初に浮かべた慈悲の深そうな笑顔で次の質問を言う。
「ふむ、それでは志望動機を教えてくれないかね。」
俺はすぐに用意した答えを思い出し話し出す。
「私は小さい頃から御社に憧、」
そこまで言うと俺は止まる。何故だかもどかしい気持ちになる。
よくよく考えると俺は姉貴に言うがままにVTuberの面接を受けさせられている。
確かに俺は今の自分を変えたい。だけどVTuberに憧れを抱き、VTuberのなり有名になるという夢は無い。
ただ変わるための道具としか思っていない。
こんな邪な考えを抱えながら御託を並べると、VTuberに夢を乗せ、応募してくる人達の心を踏みにじったような気がして気が気でない。
だから、
俺は覚悟を決めた。
落ちでもいいから、ありのままの本心を伝える。
乾き切った唇を潤わすと俺は重々しく口を開いた。
「私は2年前に挫折を喰らいました。そこから私は立ち直れなくなりました。だから、こうやって皆さんの力をお借りし、変わりたいと思いここにやって来ました。」
パチパチパチと
広々としたオフィスに鳴り響く、少しは寂しいようだか1人の厳かな雰囲気を帯びた拍手。
シワのある手で叩きながら、山下さんは俺は見ながら初めて笑った。
「はっはっ、隼人くん、君は実に面白い、興味が湧いたよ…面接は終わりだ。」
俺は驚いた。心の中で焦る。終わる早くねぇ?こんなもんなのか…面接っていうのは…
まさか俺だけ!!?
段々と青ざめる俺に、
山下さんは少しチャラけたように片目を閉じ、手を太ももの上に置くと、足を組む
「ところで、これで最後だけど君は恋をしたことはあるかね?」
「恋…ですか…」
いきなりすぎて俺は少し惑う。そして、告った幼馴染のことを脳内にうかべる…だけど今更になってもう彼女には何も感情もない。
「した、ことはありました。」
「そうか。君は高校生だ。もっと青春を楽しむんだ。」
「はい、今日はありがとうございました。」
「ああ、今日はありがとう。結果は3日後に伝えることにしよう。」
俺は席を立ち、不安にも思いながら家に帰るーーーー
その後オフィスでは鈴木隼人の合否について論議される
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