ギャルゲーではありません
僕は一般的な男子高校生である。
特に何の取り柄も無い。
だから、クラスでも存在感がない。
世の中には、「勝ち組」と「負け組」がいる。
金持ちは一生不自由なく暮らす一方、貧乏人は散々搾取された挙げ句、誰にも見取られることもなく
のたれ死ぬ。
学校にも、スクールカーストという階級社会が存在する。
上位の者は存在を認められ、自分の思い通りにクラスを、他の者を操れる。
しかし、最下層の者は存在すら認められず、いじめの対象になる。
そんな最下層の果てで、オタク仲間3人で隠れて過ごすのが、僕である。
更に言えば、僕の通う高校は荒れている。
スクールカースト上位者=陽キャな不良
という図式が完成してしまい、
将来のことなど1ミリも考えずに青春を謳歌する、
クソ連中が跋扈している。
トイレに行けば、青春の輝きが大量に入った袋が散乱し、
校庭に行けば、大人への階段を不法に登る者達の削りカスがポイ捨てされている。
要するに、何の取り柄もない平凡な男子高校生であるこの僕は、
日々を憂鬱に過ごしていた。
そんなある日である。
転校生が来た。
この学校に好きで転校する奴などいない。
転校生もろくでもない連中の一味である場合が殆どである。
しかも巨乳で美女なJKだった。
クソビッチとはこの女を表現するために生まれた言葉なのだろう。
クラスのカースト上位男子高生たちが、猿のようにイキリ立つ。
それも当たり前である。
こんな女が自分の彼女になり一夜を共に出来れば、
カーストの頂点に立てることは間違いなない。
地位も名誉も獲得し、更には己の性欲も満たされる。一石三鳥である。
幸い、僕のクラスには指導的立場をとる王様はまだ、いない。
一方、このクソビッチにとっても転校早々にクラスを牛耳れる。
更に言えば、猿どもを手なづけて性欲も支配欲も満たすことも、策略次第で可能である。
精々、自分のおっぱいを露出させて、猿どもに見せ付ければよい。
男子高生にとって、おっぱいとは水戸黄門の印籠と同じなのだから。
しかし、あろうことかこのクソビッチは重大なミスを犯す。
「私は優香っていいます」
当たり前な自己紹介の後、教師は僕の隣にある空席に彼女を案内する。
おっぱいが近づく。その時だった。
「悠太だよね。久しぶり。」
「は?」
「いや、私だよ。優香。覚えてない?」
「???」
この女はあろうことかこの僕に、最初に話し掛けてきた。
クラスカースト最下層の僕に。
つまり、彼女は最下層である僕と同類であることを、
クラス中にアピールしてしまったのである。
彼女の株が暴落する。
そして、僕と彼女との最下層青春物語が始まる、、、
かもしれない。