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6話 生未渡くん

 私は、施設に戻ってから生未渡くんに謝られた。

 

「彩香里ちゃん!さっきは本当にすいませんでした!俺は彩香里が言って欲しくないことを言ってしまいました。俺も知られたくないことあるのに。本当に……」

 

「生未渡くん」

 

「はい」

 

「もう勝手に、言わないでね」

 

「はい」

 

「私は生未渡くんに見つけてもらって、妹だってかわいがってもらえるの。すごく嬉しくて、感謝してる。私にとって恩人なのは変わらない」     

             

「うん」

 

「これからは気をつけてね」

 

「はい! 」

 

「「仲直り! 」」

 

 いつも私と生未渡は、お互いに伝えたいことを言い合って最後には同時に明るく「仲直り! 」と言ってしめる。

 

「彩香里ちゃん、日曜日は俺とお出かけしよう! 」

 

「なんで? 」

 

「う〜ん。俺が彩香里ちゃんとお出かけしたいからってのはどうよ? 」

 

「どうよ?って聞かれても困るよ」

 

「そっか! 」

 

「行こうね」

 

「やった! 」                                       

       

 生未渡くんは、いつもと変わらない笑顔だった。彼はいつも小さなことでも喜び、笑っている。

 いや、そう見せている。私のことを心配して、周りに過保護だって言われても気にしていない。

 彼自身は施設暮らしを隠していなくて、聞かれなかったら言わないだけ。


「生未渡くん、何でストーカーするの? 」


「えっ?してないよ? 」


「今日だって、あのさんの家に行ってるときに私の後ろ歩いてたでしょ」


「うん、だからってストーカーにはならないよ? 」


 生未渡くんはそれは普通だよとケロっと笑う。


「私が後ろを振り返るたびに、電柱の影に隠れてたでしょ」


「そ、そんなことないよ? 」


「図星だね。生未渡くんは嘘をつく時に、目を反らす癖があるよ」


「だって、しょうがないでしょ」


「えっ? 」


「彩香里ちゃんはかわいいから、変な人がいなら直ぐに駆除しないといけないからね! 」


「生未渡、笑顔で恐ろしいこと言わないでよ。目が笑ってないよ。子供たちが、見たら漏らしちゃうよ」


「ごめんね。でも、彩香里ちゃんにはこれ効かないね」


「慣れてるからね。何年一緒に暮らしていると思うの?」


「そっか! 」


「その駆除はどんなことをしてるかは、聞かないほうがいいやつだよね? 」


「当たり前だよ!彩香里ちゃんのためにね! 」


 彼はまた目だけ笑ってない笑顔をする。生未渡くんのように、笑顔でテンションの高い人の裏の顔は怖いものだということを忘れてはならないと思った。

「生未渡くんは、心が病んでるだけで怖くないよ。優しいよ? 」と後に彩香里はあのさんに語ったのだった。

 読んでいただきありがとうございます!

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