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黒白  作者: 真辺 悠
黒と白の2人の世界
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2 黒い端末の正体

挿絵(By みてみん)

黒い端末の仕様は、大体こんな感じで予定しております。一部本文との差異が見られますが、これは改訂版を作成する際に、仕様を変更しているためです。ご了承ください。

 今朝、俺は太陽よりも眩しいものに目を奪われた。


 それは、街を歩けば男女問わず目を引き、誰もがうっとりとため息をついてしまうほどに恍惚としていて、それでいて扇情的なスタイルとまるでシルクを夏の緑色にムラ無く染め上げた長髪を風に靡かせるお姉さん。


 ではなく、二日ほど前に届いた黒い端末だった。残念でならない。


 そして今、俺はどんな顔をしているだろうか。さっき起きたばかりで自室から出てすらいない俺の前には一瞬のうちに見知らぬ森が目の前に広がっている。


「ここはどこ?私はだれ?」


 前者は知らない。後者の答えはレイだ。この信じ難い状況を打開するべく俺は周りをキョロキョロする。


 ぐぅの音もでない。はあ、とため息をついてその場に座ると勢いよく立ち上がった。


「いつの間に着替えたんだ」


 そう。服装が変わっているのだ。ものの数分前はパジャマだった俺は、今や黒装束に身を包み、コスプレをしている。もちろん、周りにカメラをもったおじさんはいない。まして扇状的なスタイルの緑の髪のお姉さんはいるはずもなかった。残念で仕方がない。


「まあいっか。パジャマのまま外にいないだけましだ。ご丁寧に靴まで履かせてくれてるんだから」


 ここがどこだか皆目見当もつかないが、緊急事態の時こそ慌てないことだ。伊達に真面目に避難訓練に参加していない。


「怪しいのは、黒い端末だよな」


 ここに来る前光った黒い端末が犯人と仮定し、捜査を進める。まずは、黒い端末に事情聴取だ。令状は不要。なぜならば、この板に人権があるようには思えないから。


 黒い端末の液晶画面に触れると電源ボタンを押したときのように光った。


「おお、ついた」


 画面には端末と一緒に入っていた手紙と似た内容のことが書かれていた。砕けた。高苦しさを粉砕したような文脈で。


 『レイ君へ

 無事転移出来て良かったね。おめでとう!

 ちょっと大変なこともあるだろうけど、これから私たちが運営する世界で生活してね。

 当面の間は、困らないように準備したから私たちの素敵な異世界を楽しんで!じゃまたね(はーと)』


「…異世界」


 さらに黒い端末から話を聞き出すこと三〇分。わかったことは意外と多かった。


 先ず、黒い端末は主に三つのデスクトップ画面があり、それぞれ違う役割がある。画面に書かれていることをそのままいうのなら、『スキル、ホーム、メモ』だ。簡単に説明すると下には三つのボタンがあり、それがスキル、ホーム、メモとなっている。ホームが基本画面になり個人情報などが載っている。スキルと書かれた画面だがスキルを習得していないからか、このページに映っているのはスキルの三文字だけだ。最後にメモと書かれた画面。欲しいと思ったスキルやアイテムについてメモすると金額が提示され購入することができるらしい。オーダーメイドネット通販のような感じだ。


 森の中はどこから危険がくるかわからない。ホーム画面には冒険者ギルドと商業ギルドのカードが載っていた。アニメやゲームに出るような魔物がいるかもしれない。俺は早速メモに刀と銃と書き込んでみた。戦闘スタイルを考えたわけではないが、武器を考えて思いついたものがそのふたつだった。


 だがしかし、何も起こらない。すでにメモを書いて数分が経過しているが、うんともすんとも言わない。情報が足りないのだろうか?だが、これらのことに関しての知識はまるでない。俺は(おまかせ)(ハンドガン)と付け足した。


 さらに数分が経つが変化はない。これ以上手の施しようがなかったので諦めて他の画面を調べようとしたらまだこのページで調べていないものがあることに気が付いた。画面右上にあるチェックマークだ。チェックマークをタップすると『提出』と書かれたウィンドウが出てきた。物は試しだ。俺は先ほど書いたメモを提出する。


 すると『細剣一〇〇〇P銃一〇〇〇P 合計二〇〇〇P』と書かれた決済画面のような画面に移行する。二〇〇〇P持っているのか知らないが迷いなく決済ボタンを押した。


 すると目の前で黒と白の光が渦を巻くように光り、その中から真っ黒な細剣と真っ白な銃が出てきた。


 細剣と銃を手に取り黒い端末に何が起こったのか説明してもらう。と言っても自分で調べないといけない。先ほど見たスキルの画面が変わっていた。


 増えたボタンを長押しするとスキル名とその詳細が書かれていた。『<再構築> 剣スキル 折れたり刃こぼれしたりした細剣を修復する。』『<高周波> 剣スキル 刀身に高周波を纏う。』『<実弾> 銃スキル 魔力で作る実弾を発射する。』『<命中補正> 銃スキル 銃スキルの着弾命中の自動支援』

 それから最後にダイアログが表示される。


『スキルは全部で一三個取得が可能。一四個目以降はどれかを破棄することで変更が可能。スキルはポイントを追加することで強化が可能。』


 とのことだ。


 なんとなくで刀と銃と書いたが銃は当たりかもしれない。特に命中補正機能があるのが嬉しい。銃を使うのは初めてなので先ほどと同じようにメモに『スキル<命中補正>の精度を一〇〇〇P分上げる』と書き提出する。すぐに決済画面が表示され決済を済ませた。


 もう一つ、身体強化を行うスキル<強化(ブースト)>を獲得した。戦闘中は走ることも多いだろうし、相手の動きについて行かなければならない。動けるようにした方がいいだろう。


 もう少し調べたい気持ちはあったが、ずっとここにもいられないので適当に森の中を歩きだした。とりあえず、学校は卒業しておきたいので帰り道でも探そうと思う。どうやって?

レイの冒険者としての職業が一番ポイントの高い<強化>なのでブースターになりました。

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