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流れ着いて異世界 〜仕事が忙しいので世界平和は他の人に任せます〜  作者: 幸運を殺す者
第一章 賢者の見守る町
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05. 仕事を探して 後編

毎週火曜と土曜0時に一話ずつ更新です

よろしくお願いします

エリナに案内され、人混みの中を歩いていく。

すると張り紙が乱雑に貼られている掲示板が、いくつか並んでいる空間に出た。

恐らくアルバイトや正社員募集のチラシが貼ってあるのだろう。


「ここやね。掲示板の左から新しい順や。

下水の汲み取りとか、短期間で誰でも出来る代わりにお金が安い仕事が並んでるみたいやね。」


「なるほど…。つまり左の方にあるのは、誰もやりたがらない代わりに高額な仕事が残っていると?」


「せやな。ウチはあんまりオススメせんけど…。」


「一応、どんなものかお聞きしてもいいですか?」


「今見えるのやと、『海の落し物探し』と『賢者聖堂の清掃』あたりやな。」


なるほど。国や町からだけじゃなく、個人的な物まであるのか。

流石は町の集会所と謳うだけあるな。

町民全体で仕事として頼みあうことで、支え合っているような感覚なんだろう。

しかしまた出てきたな、けんちゃん。

もうお前に対する親近感すら湧いてきたよ。



「その、けんちゃん聖堂の清掃というものが気になりますね。」


その言葉を聞いたエリナは目を見開いたあと、顔を真っ赤にして笑いだした。



「くっ、くっふぅ…。自分面白過ぎるで。賢者のことをけんちゃんて。」


「は、はぁ…けんちゃんさんのが良かったですか。」


「んっふ…。もうやめてーや。と、とりあえずそれでええんやな。」


「はい。その仕事を受けます。」


けんちゃんさんのことをけんちゃんと呼ぶのは町民の中だけのことで、外の人間は基本呼ばないのが暗黙のルールなのかもしれない。

ふむ…これは難しいな。

町のスローガンに名前が上がるほどの人だ。

相手が相手なら怒らせていたかもしれない。



「一応言っとくで、多分この仕事無理やと思う。ここからでも見えるエラく長い階段あるやろ?」


エリナの指を差す方向を見ると、誇張抜きで空まで続いてそうなほど高い階段がある。



「あの上ですか…?」


「せやで。しかも長いうえにな、迷うらしいんよ。」


「迷う…?見る限り一本道のようですが?」


「まあなんというか、そういう噂なんやけどね。ちょうどあの鳥居のあたりあるやろ。その鳥居が越えられないんやって。」


「どういうことですか?」


「何でもな、8基目までは終わりが見えるんや。そこまでいくとまた8基の鳥居が現れるらしいんよ。」


「いやいや、そんな馬鹿な。」


「でもみんな言っとるで?戻る分には戻れるけど、進もうとすると絶対に鳥居を越えられないって。」


「なるほど…。ちなみに金額の程は?」


「あの上にある聖堂はな、この町の象徴でもあるんよ。

でも鳥居の噂が出回ってから、もう十年以上管理が出来てないんや。

ウチが生まれて物心ついた頃から聞いた噂やし…下手したら二十年以上?

だからやろね、向こう三年は普通に暮らせるぐらいのお金が貰えるで。

まあそりゃ誰も行けへんなら、行けたら破格の金は支払ったるってことやな。」


「なるほど…それは今の俺には有り難い話ですね。」


「まあ、気いつけてな。

もし聖堂に上がれて清掃が済んだなら、横にある灯台に火を灯すのを忘れんといてな。

それが下にいるウチらへの、完了の合図になるで。」


「灯台ですね、分かりました。では、行ってきます。」


いわく付きとは言え、1ヶ月の生活が約束されるなら試しにでも行ってみない訳にはいかなかった。

集会所を去る際にふと、中心にある時計台のようなものに目がいく。

幸いにしてそれは、おかしな形で見えることはなかった。

現在、時針は12時を刺している。

今からあの階段を登ったら、日を跨いでもおかしくは無い。

少し急ぐことにしよう。


集会所からそこまで距離はなく、存在感のある長い階段はすぐ目前にまで来ていた。


「さてと、登るかぁ…」


言葉で気合いを入れないと、あまりの高さに登る気が失せてしまう。

ただ、何もかも失い、目に見える景色すら異常の今はここにかけるしかない。


「この階段も馬鹿みたいに長く見えてるだけだろ!」


そう自分に言い聞かせるように声を上げ、この町での初仕事への一歩を踏み出した。

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