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流れ着いて異世界 〜仕事が忙しいので世界平和は他の人に任せます〜  作者: 幸運を殺す者
第一章 賢者の見守る町
12/20

12. 現れた追跡者

毎週火曜と土曜0時に一話ずつ更新です

よろしくお願いします

暫く階段を登っていると、後を付けられている感覚と言ったらいいだろうか?

後ろに何かの気配を感じることに気がついた。

だがおかしなことに振り向いても何も無く、誰かがいる訳でもない。

あるのは登ってきた階段だけだった。


「なんなんだよ、一体。」


所詮は気のせいか?

まあなんにせよ、気にしてどうにかなる問題ではない。

とりあえず聖堂まで行って師匠に聞いてみれば解決するだろう。

異世界のことは異世界の人に聞くのが1番だ。




ときどき小休憩を挟みつつ、暫く階段を上へと登っていく。

途中から背後に感じる気配も気にはならなくなり、鳥居の手前に差し掛かった頃だ。


突然、背後に感じる気配が強くなる。

今すぐ後ろを振り向けば誰かが間違いなくいる。

そんな確信めいた予感がした。

心のままに振り向こうとし、咄嗟に動きを止める。


「っつあっ!なんだっ?」


首から熱い液体が流れた。

それと同時に鋭い痛みが走る。慌てて手を首元に当てると、暖かくぬめりを帯びた物が手に付く。

目で確認すると、それは紛れもない血だった。



「ああ、申し訳ない。傷をつけるつもりはなかったんだ。それと、まだ暫くは振り向かない方がいい。」


「ええっと、ご忠告ありがとうございます。あーどちら様ですか?」


「訳あって名乗る事は出来ない。」


「そうですか…では、せめて解放してもらえませんか?

顔も見えない状態では落ち着いて話も出来ませんよ。」


「すまないがそれも出来ないんだ。

だがまあ、こちらの要件を飲んでくれれば素直に解放しよう。」


「聞きましょうか。」


「貴殿はこの先の聖堂に用があるんだろう。

簡潔に言おう。この鳥居を越える方法を教えてくれないか?」


「すみません、どうして越えられたのか自分でもわかってないんです。

実は集会所で町長さんからも、同じような事を聞かれました。

その時の話を聞いていたなら嘘をついている、なんて思うかもしれません。

ですが咄嗟のことでその時は手の内を隠したい。

そんな風に誤魔化してしまいました。」



これに関して嘘は言っていない。

正直なぜ越えられたのか、方法があったとしても知らないのだ。

だがまあ、町長から聞かれた時のような緊張感はない。

ガラスが割れるような音がした、ということは言っても良かったかもしれない。



「ふむ。私が町長の使いで来たことには気づいていたか。」



いや、それに関しては全く気づいてなかった。

持ち前の言い訳癖が、上手い具合に働いただけだ。

一先ず話を合わせておこう。



「ええ、まあなんとなくですがね。」


「ふむ…よし!貴殿につけた傷、治療してやろう。

本当に知らないにせよ、事情があり隠しているにせよ、この町にいるなら話をする機会はある!」


「は、はぁ。」


「じっとしているんだぞ?

主なる神よ。我が祈りに応じて彼の者の傷を癒したまえ。治癒(ヒール)



首元に温かみを覚えた瞬間、バチンッ!と静電気のようなものが走る。

痛みに振り向くと、かなり整った顔をした青年がこちらを睨み、拳を握りしめながら震えていた。



「最大限、譲歩していたつもりだった…!

だが!施しを拒否するとは無礼な奴め!!」


「なっ!待って下さい。俺は何も…」


「問答無用!こうなったら手足を切り落として、引き摺り回してでも話してもらう!」



叫びながら剣を抜き放つ。

しかしそこに刀身はついておらず、柄までしかなかった。

だが青年は抜いた勢いのまま後ろへ飛び退いた。

恐らく勢いをつけてこちらに斬りかかるつもりだろう。


走って逃げれば間に合う…か?

最悪師匠に助けてもらうしかない。



「風よ。我が手に集まり、剣となりたまえ。」


なんか詠唱しだしたぞ。

やばそうだが、むしろチャンスだ。

思い切り背を向ける形にはなるが、俺が鳥居を越えるか、あの青年が俺に辿り着くのが先かの勝負だ。

腿を上げ、全力で走り出す。


「ごめんなさあああい!!」


せめてもの謝罪を心から叫ぶ。

だが聞いてるかどうか、どんな反応をしてるのか見ることは叶わない。

振り向く暇すら今はない。


その謝罪に答えるためかどうかは分からない。

後方から聞こえてきたのは、魔術詠唱完了を示す一言だった。


創剣術(クリエイトソード)!」



7基目の鳥居を越えたあたりで、凄まじい風切り音と突風を後ろから感じる。

階段を登る音と強まる突風に、もう至近距離まで近づいていることがわかる。

その風が追い風になったのか、結果的に後押しされるように8基目の鳥居まで一気に辿り着く。


だが、それと同時に風切り音も耳元まで近づいていた。


「うわああああ!!!」


恐怖に目を瞑りつつも、叫んで鼓舞しながら足を1歩前に踏み出した。

すると、再びバリンッ!というガラスの割れたような音がした。

気づくと聖堂の前にいて、師匠が驚いたような顔をしながらこっちを見ていた。


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