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【ガチャでN(ノーマル)しか出ない呪い】が実は最強チートだった!? 99%即死効果の糞ガチャ異世界を生き延びる!!!  作者: 住之江京
Chapter004:王都ハネシタ

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080. 戦闘は結局先手必勝だ

 レーザーのような熱線による奇襲。

 手足や腹に穴の開いた山本さんは、ひとまず死んではないようだ。


「回復薬と一応盾。動けるなら隠れて」

〈賊はあの木の影ですわ!〉


 下級回服薬が手持ちに2本、穴が貫通した上に傷口の焼けてる人がポンと治るほどの効果はない。

 僕も手足に(かす)っていたので、悪いけど1本は自分で飲んだ。


 魔物との戦いで学んだこと、戦闘は結局先手必勝だ。

 今回は相手に先手を譲ってしまったから、2手目は流石に譲れない。


 僕は無言で杖を振るい、魔法の火の玉を投げつける。

 大抵の生き物は燃えると死ぬし、当たらなくても周囲が燃えると怯む。

 貫通量40%の防御貫通スキル、30%の耐性貫通スキルは植物にも効くので、生木でも意外とよく燃える。


「うわっ!」


 黒っぽい服の人が木の陰から飛び出して来た、ので、杖を捨て、腰に差していた竹槍に持ち替え、そのまま胴を狙って突く。

 人型相手なら頭に当てれば大体死ぬけど、頭を狙うと避けるので。


「ぐぶっ」


 あれ。普通に当たった。なんかこいつ普通に弱いな……。

 初手の魔法の威力から手練れの人かと思ったけど、まぁいいや、とりあえず利き腕。


「ぐあぁっ!?」


 念のため反対の腕も。


「い、いだいっ、やめっ」


 おっ、相手の心が折れて命乞いを始めたら確変チャンスだ!

 数秒間は反撃を警戒せずに追撃を、


〈329番さん! ストップ、ストップですわ!!〉


 何です姫様。


〈その人、知ってる人ですわよ! 329番さんのお友達ですわ!〉


 えっ、まさかカマセーヌ様!? ……の訳ないよね、あの人が相手だったら今頃僕の方が細切れになってるし。


 恐る恐る顔を確認すると。


「あれ。セナ君だ」


 そこにいたのは僕の保証人にして恩人でもあるウラギール大司教のお弟子さん、聖職者にして学院の生徒でもあるセナ君だった。


 ………えええ。うっそでしょ。

 やばいやばい。何が先手必勝だよ。

 完全に調子乗ってた。ゴブリン相手にするつもりでやっちゃったぞ。


〈か、回復薬は? ガチャアイテムの回復薬なら、こんな傷一瞬で全快ですわ!〉


 さっき全部使っちゃいました。

 どうしよう……大恩ある大司教様のお弟子さんに……。

 聖職者の人って回復魔法とか使えないですかね。


〈回復魔法ですの? 全然聞いたことないですわ……〉


 僕もないです……。

 と、とりあえず傷口を縛りましょう! 包帯包帯!

 あと薬草も探してきましょう!


「うぅ……」

「あ、セナ君! ごめん、本当ごめん! すぐ手当するから!」

「うう………邪悪な死霊術師め…………」

「はい邪悪な死霊術師です、ごめんなさい」

〈完全に怒ってますわ!!〉


 大司教様のお弟子さんだから付き合いはあるけど、実際そんな仲良くはないんだよな。クラスも違うし。


「本当にごめん、急に山本さんが襲われたから、ついカッとなって……」

〈言い訳は良くありませんわ! 大事なお友達が傷付けられて、カッとなった気持ちはわかります

でも、まずは只管(ひたすら)ごめんなさいですわよ!〉


 うう、そうですね。

 セナ君は血を流しながらフラフラと立ち上がり、焦点の合わない目で当たりを見回した。


「……ガチャでスキルを得ただけの下賤な平民が……」


 もうマジギレじゃないかこれ。聖職者がこんな怒る? 怒るか。そりゃ怒るわ。


〈どどど、どうしますの!? 回復薬の容器にちょっと雫が残ってたりしませんの!?〉


 そ、そうですね姫様! ちょっと山本さんの所に戻って回収を……。


「ぐうう……ガチャ………ガチャさえ回せば……。

 ……はっ、し、師匠!? 何故ここに! えへへ、えへへへへ……」

〈セナさん? ねぇ329番さん、何だか様子が変ですわよ〉


 変ですね。何これ、状態異常かな。


 ………いや。これ明らかに状態異常だな。3回は攻撃入れたし。

 精神抵抗を考慮しても、蓄積値+50%の混乱と幻惑は確実に入ってるぞ。


「ええ、ええ、判りました。回してみせますね……!!」


 相当頭のおかしいことを口走ったセナ君は、急にカッと目を見開くと木々の間を全力疾走し始めた。 

 止めに行った方が良いとは思うけど……まあ、その辺に魔晶鉱山がある訳でもなし。本当にガチャを回せるわけでもないから、うーん、正気に戻った時にちゃんと謝ろう………。


〈そうですわね! それより山本さんが大変ですわ!〉


 そうです姫様、急いで戻りましょう。


「山本さん、大丈夫?」

「ありが、とう。どうにか生きてるわ……」

〈良かったですわ……! 死んだらおしまいですものね!〉


 身体は穴だらけでも、骨には当たっていないそうだ。

 穴だらけの本人が言うには、これくらいの傷なら少し休めば歩けるし、数日で穴も塞がるんだとか。経験談みたいに言うね。


 色々と疑問や不安はあるけれど、全部後回し、落ち着いてからだ。


 僕は山本さんに肩を貸し、彼女の新しい仮拠点に向けて歩き出した。

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