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【ガチャでN(ノーマル)しか出ない呪い】が実は最強チートだった!? 99%即死効果の糞ガチャ異世界を生き延びる!!!  作者: 住之江京
Chapter009:聖都シャトーブリアン

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180. 教皇からの声がかかり、僕達は揃って顔を上げた

 女神の勇者パーティのミーティング後、僕とコレットさんは宿に戻った。

 聖城への宿泊許可は出てないし、荷物も宿に置いたままだし。


 コレットさんは長時間緊張していたのか、もう自分のベッドに転がってぐったり伏せている。そのまますぐに寝息が聞こえて来た。

 僕の方は、今日はダンジョンに潜った訳でもないし、それほど疲れていない。ので、折角だからラムダ様に質問させていただこう。


「教皇ってどんな人なんですか?」


 前に立って喋るのは僕じゃないけど、ちょっとは台詞もある予定だし。

 何にしても、人物像の予習は大切だからね。


〈そうですね……〉


 と、少し考えるような間が開いて、ラムダ様は仰る。


〈まず、種族はご存知の通りドラゴンです。

 両親共に龍王の眷属の一族で、ダンジョン産の上位種を除けば、現存する唯一の純血ドラゴンですね〉

「はい、それは伺いました。

 こちらとしてはドラゴンの火力が欲しいのと、親世代が神様と直接関わっていたから、他国のトップより魔王の危険性が伝わりやすいのではないか……みたいな話ですよね」

〈ですです。良いですよ、情報は記憶してこそ利用できますからね〉


 褒められた。

 とはいえ、ここまでは単なる復習だ。僕は続けて質問する。


「教皇個人の好きな物とか、性格ってどんな感じです?」

〈好きな物は金貨と異種族との交配。

 金貨の種類は問いませんし、純血ドラゴンは両性具有ですので交配相手の性別も問いません〉

「んんん、なるほど」

〈性格は簡単に言えば傲慢、強欲、陰湿、好色です〉

「あんまり会いたくないんですけど」


 聞く限り、人格面では良い所が1つもない気がするぞ。

 何となく厄介な人だろうなとは薄々勘付いてたし、ドリルツーノ枢機卿にあれだけ嫌われていたなら、何かしら問題があるとは思ってたけど。


 ラムダ様も、これでは流石に良いとこ無しの説明だったと思ったのか、


〈貯金が好きなのは経済に明るい証拠だと言いますし、交配が好きなのは生命を愛する表れかもしれませんよ〉


 と、フォローのために適当なことを言い始めた。

 もう少し何かないでしょうか。


〈……ええと、そうですね。

 好みがはっきりしている分、上手く扱えれば対応は比較的容易だと思いますよ。

 山本が女神の勇者に認められたのも、異世界人という種族の物珍しさからですので〉


 人格評価は上がりませんけど、交渉相手としてはやりやすい、ということでしょうか。


 僕はラムダ様にお礼を告げて、ベッドに倒れ込んだ。

 今の話でドッと疲れがきたので、よく眠れると思う。





 それから3日後、教皇との謁見の日。

 僕とコレットさんは、この日のために用意したちょっとフォーマルな衣装に身を包み、その上に鎧等を装備する。冒険者の正装とはこういうものだ、と冒険者ギルドの礼法アドバイス担当司祭(謁見料30万G(ゴルド)、アドバイス料10万G)が言ってた。

 僕の装備はほぼ竹製なので、スーツっぽい衣装とは合わない気もするんだけど、プロが言うならそうなんだろう。


 コレットさんは、僕の衣装の倍ほどの値段のドレスを纏い、ドロップアイテムやガチャアイテムをその下に装備。尻尾にはお気に入りの尾飾りを付け、竹刀と真剣の2振りを腰に差している。

 普段つけている竹の手甲はドレスに合わないので、僕が預かって付けることになった。スーツにも会わないと思うし、余計に竹度が増えたね。


〈良いですね。2人共、よく似合っていますよ〉


 と、ラムダ様からも合格評価をいただいたので、文化的、礼法的な問題はないはずだ。

 それなら良いかということで、僕達は宿を出て聖城へ向かった。


〈そういえば、御存知でしたか? 今日は貴方達がこの世界に転移をして来て、ちょうど1周年の記念日ですよ〉

「え、そうなんですか? 今日が確か百花の月の、23日でしたっけ」

「おめでたい日ですワン?」

「おめでたさは無いかなぁ」


 こっちに来てから良いことも悪いこともあったけど、記念日をお祝いするほどめでたさは無いと思う。


 聖城に着いたらまっすぐ山本さん達の部屋に向かった。ミーティング兼交流会ということで、僕とコレットさんはこの3日間は毎日この部屋に通っていたので、ラムダ様のナビがなくても迷わず辿り着ける。

 早めに一旦合流して、ちょうど良い時間になったら謁見の間に向かう予定だ。


「お待たせ」

「お待たせしましたですワン」


 ラヴィズさんの開いたドアの奥へ案内に従って進み、部屋の中に入る。


「大丈夫、少し早いくらいよ」


 そう答えた山本さんも、ドレスの上に強そうな鎧を装備している。

 ラヴィズさん、コナさんはメイド服の上に武装している。

 大体僕達と似たような方向性の格好だ。


「コレットちゃん、おはよ~」

「おはようございますですワン」


 コレットさんとコナさんは年も近い(※実年齢4歳と2歳)からか、この数日で仲良くなった。というかコナさんがコレットさんに懐いているのかな。年下相手ということもあり、大人しく抱き着かれている。

 現在ラヴィズさんとコナさんは、山本さんの従者ということになっている。プロのメイドのラヴィズさんが、コナさんにメイド心得を伝授している最中なんだとか。

 コナさん曰く「手に職をつけるんです!」とのことで、僕も陰ながら応援することにした。


「そろそろ謁見の間に向かうわ」


 山本さんの号令に銘々(めいめい)が返事をし、ぞろぞろ廊下へ向かおうとすると、そこへラヴィズさんの制止が入る。


津埜乃(つのの)様、先頭へどうぞ。貴様は半歩下がれ〉


 この人にメイド心得を教わるのも若干不安なので、コナさんにはもっと良い師匠を探してあげようと思っている。




 居住エリアを抜け、行政エリアを横目に、共用エリアを通って、典礼エリアの奥の、教皇エリアへ。

 教皇エリアって何だろ……と思いながらついていくと、そこは教皇エリアというか、ドラゴンエリアだった。


 大体なんでもサイズが大きいんだよね。ドアとか家具とか。

 謁見の間は壁をぶち抜いた華美な大部屋で、中央奥にドラゴンサイズの椅子。ずらりと並んだ兵士の人達(※すごい多い)は人間サイズの龍人(ドラゴニュート)だけど、部屋の奥からこちらを見下ろす教皇は、その辺の小屋よりも大きなドラゴンだった。


 僕は以前もっと大きいドラゴン(の上位種)を見たことがあるので、思ったよりも小さいなぁ程度の感想。

 僕の前を歩く山本さんは一瞬肩を震わせたけど、大きな反応は見せずに絨毯の上を進んだ。

 隣を歩くコレットさんを横目で見ると……わりといつも通りの表情だ。


〈「山本さんの方が怖いですワン」〉


 えー。だってほら、そこそこ大きいし、角の数とか5本くらいあるよ。


〈ステータスも教皇の方が高いはずなのですが〉


 ラムダ様も不思議そうな反応だけど。


〈「あのドラゴンなら、逃げ回れば殺されませんですワン。山本さんは逃げても追いつかれて死にますですワン」……ああ、なるほど。それはそうでしょうね〉


 よくわからないけど、相性の問題とかですかね。

 ところで、後ろの2人は僕からだと見えないんですが、大丈夫でしょうか。


〈コナは多少表情は引き攣り、身体も震えていますが、まっすぐ歩けてはいますね。

 ラヴィズは顔がないので表情は判りません〉


 でしょうねぇ。

 僕達3人がいつもの調子でのんびり話している内に、一行はそれなりの距離を歩き(何せ部屋が広いので)、山本さんが立ち止まって膝をつく。僕とコレットさん、後ろのメイド組も同じように膝をついて頭を下げる。


 まだ10メートルほどは距離があるのに、教皇の鼻息がかかる。生暖かくて気持ち悪い。

 っと、あ、すみませんラムダ様、ここって【読心】スキルの持ち主とかいますか……?


〈ドリルツーノがいますが、今の心境はコレットにも送っていないので問題ありませんよ〉


 ドリルツーノ枢機卿もいるんですね。後で挨拶しとこう。

 そんなことを考えながらぼんやり床を見つめていると。


「面を上げるゴン」


 教皇からの声がかかり、僕達は揃って顔を上げた。

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