迷子
思いつきで書き始めたので、行き当たりばったりです。内容も文章も拙いので、読む際は覚悟の準備をしておいてください。
目が覚めたとき、そこは見知らぬだった。というような経験は、人生の中でそうそうしないだろう。
〈事実は小説より奇なり〉とは誰の言葉だったか。だが、現在の彼の状況は正に小説のように奇なる状況であることは間違いなかった。
「ここは…どこだ?」
森の中に一人青年は立ち尽くす。つい先ほどまで寝ていたため完全に覚醒していない目を擦りながら周りを見渡す。
「えー…スマホ…は、無いか。え、どうしようヤバくね?ドッキリ的な?知らんけど。つか、なんで森?」
ほぼ無意識にポケットに手を入れ、目的の物が無いことに気づくと、動き出した頭が混乱を始める。もっとも、この状況で冷静に思考し、動くことができる人間がどれほどいるだろうか。
混乱しながら青年は近くの木の根元にしゃがみ込む。
「なんでこんなことに…。しかも何で俺?意味が分からん。つーか腹が減ったし何か食えるモンくらい用意してくれよ!」
混乱のせいか空腹のせいか、はたまた両方か。青年は激怒した。
怒ったところでどうしようもないのだが、それでも怒らずにはいられなかった。
「はぁー…しゃーなし、歩くかぁ…。裸足だからあんまり歩きたくないんだよなぁ。痛いし」
大きな溜息をつきながら立ち上がり、足取りも重く歩き出す。歩くとは決めたが、目的地がないのだ。当てもなく彷徨うことを考えれば仕方もないことだろう。
歩けど歩けど森の中。代わり映えのしない景色に本当に森を抜けられるのかという不安に駆られる。そもそも、今森のどの部分かも知らないのだ。森の中心に向かって歩いている可能性だってある。
そして、彼はまだ知らない。この森に何が住んでいるのかを。