2/3
酷い幕開け
「……………………。」
野に曝された環境の中で、情けなく臥せている男が居た。
無言で、いや恐らく喋る力も無いのかもしれない。
どうしてそんな事になってしまったのか、当事者である本人以外に誰か知ろうものか。
……正直な所、
ーー其の儘言ってしまうと「単なる空腹」である。
そんな事よりも此の儘でいる訳にはいかない。駄目なのだ。そもそも動かなければ食になんて有り付けないし、こんな野のど真ん中で突っ伏した儘だなんて、動かなければ何処にも行けない。
…が、空腹のあまり動けない。此れでは悪循環だ。終わらない、終わらないぞ此れは。
挙句、野に曝された彼の身体は風によって体温が下がり、冷えてゆく。…寒い。
寒い。
寒い。身体が動かない。
寒い。何も出来ない。
「ーーなにしてるの?」
あどけない子供の様な声が聞こえた。
嗚呼、どうやら迎えが来てしまったらしい。