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氷の魔法を使う者  作者: ファイル
26/64

26話 おふろはいだい

ときあめ寮には別館、というか渡り廊下を進んだ先にお風呂があるのだ



大きな大きな露天風呂


寮長に温度を上げてもらって氷像と化したお兄ちゃんを入れる


「まさか溶けない氷で作ってないよね...?」

不安になるが

少しづつだが溶けだしている


「よかったです...」

ティアも湯船に浸かり火魔法を使う


「...お兄ちゃんといっしょに露天風呂に入れたのに意識が無いなんて」


普段は男女は時間で分けている

肩書きだけでやることの無いエリンシアさんがお風呂の前で見張りをしているので


いや、あの人ほんとに何してんだ


さっき机に突っ伏して寝てたし



「ふぅ...お兄ちゃん、今夜は星が綺麗ですよ」



寒い


さむい?


久しぶりにそう感じた


氷精に取り憑かれてからは寒さを完全に忘れたと思ったのだが...



「ふぅ...お兄ちゃん、今夜は星が綺麗ですよ」


...!?


ティアの声が横から聞こえてきた

反射的に首を動かそうとしたのだが


体が動かない、なんなら目も開かない



寒い...あぁ、ミスラと闘った時に全身凍らせたんだった


ぱちゃ...と水の音が聞こえる、意識を耳に集中させると少し遠くで

どっどっ...と水が流れる音が聞こえる


ここは露天風呂か

ティアが氷を溶かすために運んでくれたのだろう


...いや、意識が戻っているってことは氷を砕けるんじゃないか?


ガラッ

「わぁ、広いですね!」

「さむさむ」

「ふっふー水帝プロデュースのお風呂よっ!」


...セレナとミスラと、ソエルもいるのか?


「あ、すいません、お先に失礼してます、と言うよりお兄ちゃんを溶かしてるから湯船に影響が...」


まずいぞ、氷を砕くことが視覚的に不味くなった


いや、氷砕けねぇわ、魔力がたりねぇ


あっ、いや、試したのは違うぞ、足の関節だから直ぐに逃げれるようにしたのであって目元の氷を砕こうとしたわけじゃ...



何言ってんだか



「あら、ティアさんが温度を保ってくれますよね?」

「むっ...まぁそうですね、ときあめ寮自慢の露天風呂です、ゆっくりしていってください」


「おふー」

ざばんと音をたてながら入水


ミスラかな?なんか幼児化してないか?


「...まぁ今日はいいわ」

セレナがおこている


二人分の入水する音が聞こえる


...くっ、さぞ目の前には眼福空間が広がっているのであろう


「はぁー...気持ちいいですねー!」

「ふふんっ!そうでしょ!そうでしょ!」


セレナが非常に上機嫌になった


「ええ、まさか学園に来て露天風呂に入れるとは思いませんでした」


露天風呂...は水帝領と炎帝領の所にしかないんだっけ


「なんなら毎日来てもいいわよっ!」

「本当ですかっ!?」


「エルなら大歓迎よ」

「かんげい」

「えっ毎日来るんですか?」


「あらティアさんは嫌なんですか?」

「いや、別に...なんならこっちに引っ越せばいい」


「それは面白い発想ね」

おや、ティアがソエルを嫌がる扱いじゃないとは珍しい...?


いや、それはティアに失礼か


「それもいいかもしれませんね」


「お風呂に釣られて来ることになりますけどね」

「それはそれでいいんですけどね」

「おふろはいだい」



「ところでそれっていつ頃溶けそうなのよ」

セレナが...俺の様子を聞いたようだ


「うーん、分からないんですよね」

「溶けたら私たち見られるよね…」

「まぁそうなりますかね」

そうなっちゃいます?


「えぇー」

嫌がるセレナ

「ずっと凍っていればいい、私をいじめたバツ」

をい


「別に私は...」ぶくぶくぶく...


「ソエル?」


「なんでもないわ」


うーん、でも意識が戻ってるから特異魔法は発動してるはずで、魔素は出始めてると思うんだが、ティアは気が付かないのかな



「ふぅー...まぁ、トーナメント1日目、お疲れ様、勝っても負けても、これが終わればテストして長期休暇だからっ!」


「休暇っ!」


「そうですね...」

「えぇ」


ウキウキなミスラ、声のトーンが落ちるティア、相槌を打つソエル...



この時もう少し、気にするべきだった




「ティア、こいつはずっと凍ってんの?」

ざばざばと近づいてくる、ミスラかな


「そうですね、もう少しかかるとおもいます」

「そうですか」

ソエルも来たようだ


「ていうかティア、顔真っ赤よ?こっち来なさい」

「あっでもおにい」「いいからっ!」


ざばざばと音を立ててティアとセレナが湯船から出ていく


コンコンっ

「こいつに仕返ししてやろう」

「えっ...とミスラさん?」

「ミスラって呼んで」

「ミスラ、やめといた方が...」


「雷切」バチッ


えっとぉ?ミスラさん?何しようとしてるんですかね?


「うちの鎧が倒れてくるトラウマを思い出したからゆるさない」


トラウマ...えっ?俺関係なくね?

「鎧みたいに凍りやがって」

ジジっと切られていく音がする


凍った時鎧みたいになったのか...

メイスみたいに防具を作れるかな


スっと入ってきた雷の刃が体に届き

全身を雷が襲う


バチバチっ!

「...!?」はぐぁっ!?


「ふっ楽しい」

「み、ミスラ?」


氷像が音を立て始めている

「もっかい!」

パキパキ...

バチッバチッ!


氷が砕け始めているけれど

ミスラには雷の音で聞こえてないようだ



...あっ


バチッ!

バキンッ!


「グハァッ!?」

再び雷が全身を襲い

体がグワット動き出す

動いた拍子に声が出て氷が砕ける

実際には雷でも砕けてたけど


「やな予...」

「うえぇ!?」


ミスラが急に動きだしたことに驚き雷切を落とす


実体化系は暫くは形を維持して残る...

つまりは



ぽちゃん



雷の刃が湯船に落ちる


バチッバチッバチッ!!


「あばばば!?」

既に体はボロボロなんだがっっ!


「ひゃぅわ...」

「あつっ...くわないわ」


意識がぼんやりとする



声は聞こえるな...


「あっ、ごめんソエル、まじごめん」

「うーん...」

「やべー、セレナに見つかる前に」


「わたしがなんだって?」

「げ」


意識が落ちていった...



一瞬だけでもソエルとミスラが並んでいた光景はとても眼福でした...

特にソエ...


すやぁ

周りからはときあめ寮は水帝寮の認識です


作者の好きな数字は26なので特別回


フェルにはセレナの手刀が炸裂してます

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