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指風鈴連続殺人事件 ~恋するカナリアと血獄の日記帳~  作者: 須崎正太郎
御堂若菜《みどうわかな》の日記
33/131

2001年7月16日(月)

 昼休み、佑ちゃんも含めてみんなで集まる事件があった。

 なんと佑ちゃんが、ハセガワくんといっしょに以前、地下室への入り口?

 ……らしきものを発見していたらしい。いつのまに!


「これだ。きっとそうだ。すごいよ、天ヶ瀬くん!」


 安愚楽くんは大興奮して、地下へと続く階段を眺めていた。

 学校の西側の隅っこにあった、地下への階段。佑ちゃんはどうして、こんなところに来たことがあるんだろう。

 あとで聞いたら、なんかはぐらかされた。むむむ、謎である。


 で、この地下に向かう階段をみんなで降りてみたら、そこにはドアがあって鍵もかかっていた。

 ドアは錆びていて、汚れていて、古くて、バッチい感じだった。キキラちゃんはすぐに「帰ろう」って言いだしたけどわたしも同感。なんか臭いし、それにこの階段、本当に病院への道かもわからないし。物置かなんかだと思った。みなもちゃんはなんだか楽しそうに、ドアを触ったり、なんとか開かないかガチャガチャやってたけど。


 けっきょくドアは開かず、その場はそれでお開き。

 この階段が元病院に続いているものなのかどうかは分かんなかった。




 で、そこから――

 教室に戻る途中、わたしの隣にいたみなもちゃんが、


「調べてみようかしら」


 なんて言い出した。


「調べる? なにを?」


「あの地下室のことよ。本当に、あの地下が病院の跡地だというのなら、なにか手がかりが残っているはずよ」


「手がかりって……。まあそうかもしんないけど、でも、どうやって調べるの?」


「地元の話だもの。図書館の郷土資料コーナーに行くのが一番でしょうね。今日は月曜日だから、図書館は閉まっている……。――明日、調べてみようかな。どう? 若菜もいっしょに調べる?」


「わ、わたし? うーん、そうだねえ……」


 調べものって、そんなに得意じゃないけど。

 でもあの地下室が、本当に人が殺されたような部屋かどうかは知りたいかも。

 事実がどうなのか分からない、宙ぶらりんの状態が一番怖いから。


「……わたしも調べるよ。あんまり役に立たないかもしれないけど」


「OK。それじゃ明日の放課後にでも」


「うん、そうしよ。あ、佑ちゃんたちはどうする? 誘う?」


「そうね……」


 わたしとみなもちゃんは、前を歩いている佑ちゃん、キキラちゃん、ハセガワくんの背中を見た。

 3人は笑い合っている。テンションが下がっていたキキラちゃんも、少し落ち着いたみたい。


「やめときましょ。天ヶ瀬くんと長谷川くんは調べものなんてする柄じゃないし、キキラはこの話、怖がっているみたいだから。私たちふたりで調べて、面白い結果が出たらみんなに報告したらいいわ」


「そっか、うん、そうだね。じゃ、まずはふたりで図書館へGO、だねっ」


 そういうわけで、わたしはみなもちゃんと学校の怪談? について調べることになったのです。


 まさかこれが壮絶な事件の始まりになろうとは、このとき少女ふたりは知る由もなかったのだ……ジャジャーン!(←ドラマのオープニングっぽく!)

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