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指風鈴連続殺人事件 ~恋するカナリアと血獄の日記帳~  作者: 須崎正太郎
袴田みなも《はかまだみなも》の日記
120/131

2001年9月9日(日)

 若菜の四十九日。

 私は安愚楽くんといっしょに参加し、故人の冥福を祈った。


 そして……

 これで若菜は天国に行っちゃったのね。

 上から、見ていてちょうだいね。あなたを殺した犯人は、必ず私が見つけてみせるから。




 ところで。

 安愚楽くんから新情報。


「長谷川くんの四十九日もいずれ来るだろう? それに備えて――ちょっと長谷川くんの家に出かけてみてね、ご両親の前で線香をあげてきたんだけど」


「偉いわ。私も行かないとね」


「うん、行くといい。……で、それはともかく。……長谷川くんのご両親から、ちょっと気になることを聞いてね」


「ご両親から? どういう話?」


「実はね、長谷川くんは、亡くなる前日、変な電話をしていたそうなんだ。相手が誰かは分からないけど、とても怒った様子で――『あんたのせいで御堂がああなったんじゃないのか。あんたの言うことを聞いたばかりにこれだ! 天ヶ瀬になんて謝ればいいんだ。御堂は絶対になにも知らなかったのに、あんたのせいで……。あまりふざけるなよ。……あんた……お、おお、おそろしい男だよ……!』――そう叫んでいたそうだ」


 あんたのせいで?

 おそろしい、男……?


「その、おそろしい男って……この一連の事件に関係ある人物よね?」


「そう考えるのが自然だろうね」


「おそろしい男……」


 工藤教諭がひとりごとで言っていた『あのひと』。

 岡部義太郎が死ぬ間際に言っていた『あいつ』。

 長谷川くんが電話をしていた『あんた』『おそろしい男』。


 これらは同一人物なの?

 若菜を、長谷川くんを、天ヶ瀬くんを殺したのは、その『男』?

 工藤教諭や岡部義太郎の裏にいるのも、その人物……?




 ……誰よ。




 いままで事件に関わってきた人の中で、そんな、いかにも黒幕らしい人……いた……?

 私は正直、これまで、工藤桃花や岡部義太郎が犯行に関わっていると思っていた。

 長谷川くんも、もしかしたらなんらかの形で、利用されているのかもしれないと推測していた。


 だけどその裏に……

 まだ、私の知らない誰かが、存在しているというの?


 分からない。

 分からないわよ……!!

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