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指風鈴連続殺人事件 ~恋するカナリアと血獄の日記帳~  作者: 須崎正太郎
袴田みなも《はかまだみなも》の日記
115/131

2001年9月4日(火)

 昨日、私はキキラと再会した。

 彼女は――彼女はなんと、夏休み中に家出をしてから、ずっと学校で寝泊まりしていた、という。

 食事は差し入れをもらったり、自分で近くの店に買いに行ったり。お風呂は水泳部のシャワーを借りていたらしい。


 だけど、そういう生活がまともに成り立っていたのは8月下旬まで。

 8月下旬になると、キキラは水泳部に顔を出さなくなった。水泳部の生徒は、キキラは家に戻ったのだと思っていた。


 しかし、違った。

 キキラは学校の屋上へと続く踊り場に、ずっといたようなのである。

 それも――明らかに正気ではない状態で。


「みなもッチーーーーーーーーーーーーーーー。アーマガセ! アーマガセが! ああああああああああああああああ、ヴああああああああ」


 新学期になり、登校してきた生徒に発見されたキキラは――

 目が、正気じゃなかった。血走った眼差し、ぼさぼさの髪、どす黒い肌。

 これが快活で、流行に敏感だった山本キキラかと思うほど、その様子は普通ではなかった。


「みぃなもぉっち。どこ、どこ、どこいっとったん。アーマガセが。ハセガワが、もう、もう、うちもぉ、どうかぁ、どげか、しぃしぃてぇええええ」


「キキラ、しっかりして! 心をしっかり持つのよ、キキラ!」


「無理やあああああ。アーマガセがおらん、アーマガセが。うちのお兄ちゃんが、どうかなって、もう、うちぃ、無理やあん。無理い。なんでこんなことになっとるんよお、なぁんで、ぶう」


 天ヶ瀬くんが、お兄ちゃん?

 なにを言っているのかよく分からない。


 やがてキキラはやってきた救急車によって病院へと運ばれた。

 ここまでが昨日の出来事だ。


 キキラ……。

 天ヶ瀬くんが殺されて、ああなってしまったの?

 それとも、また、他になにか……?

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