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指風鈴連続殺人事件 ~恋するカナリアと血獄の日記帳~  作者: 須崎正太郎
袴田みなも《はかまだみなも》の日記
108/131

2001年8月24日(金)

 安愚楽くんと、また事件を推理する。いつもの場所。

 だけど推理は進まない。なにかとても大事なところを見逃している気がするのだけれど。


 北条凛の異様な卒業文集、岡部義太郎の破られた卒業文集。指風鈴をする意味。7年に1度、女性が殺され、そして今年に限っては長谷川くんまでやられた理由。岡部義太郎の狂った理由。工藤桃花の全体的なうさんくささ。あと一歩、あと一歩でなにかがつかめそうな気がするのだけれど。


「現状では、これ以上は無理か」


 安愚楽くんが、お手上げのポーズを取った。

 そして、彼は言った。


「……なあ、袴田さん。天ヶ瀬くんと山本さんは、いまどうしているだろう?」


「……天ヶ瀬くんはショックを受けて引きこもり。キキラは家出中と聞いたけれど……」


「ならば、せめて天ヶ瀬くんだけでも呼ばないか? 彼もそろそろ、少しはショックから立ち直っただろう」


「…………そうね。……そろそろ彼の力も借りたいところだわ」


 私は素直にうなずいた。

 天ヶ瀬くんの心へのダメージを考えて、これまで私たちはあまり彼に連絡を取らなかった。

 だけど、彼の力をいまは頼りたい。私たちの知らないことだって知っているかもしれないし、それに私たちが気付かないことに気付いてくれるかもしれないから。


「よし、それじゃ明日にでも僕から電話しておくよ」


「そうね、お願い。集合場所はどこにしようかしら? このお店?」


「いや……このお店は……もういいだろう。……メニュー、飽きたし」


 安愚楽くんにしては珍しく困り顔だったので、私はくすくす笑った。

 彼の言う通り、このフライドチキン屋はさすがに飽きていた。


「天ヶ瀬くんの家の近くに、コンビニが確かあったわよね。とりあえずあそこに集まらない? 店内なら冷房も効いているし」


「うん、妥当なところだね。じゃあ、そうしよう」


 そういうわけで、天ヶ瀬くんにも推理グループに参加してもらうことになった。

 天ヶ瀬くんは来てくれるかしら。……来てほしい。いっしょに戦ってほしい。それは私の本音だった。

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