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世渡り下手な最強の侍は異世界で気ままに生きる?  作者: ミイルキイ
第2章 オーグの王
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古代龍2

ーーーー気がつくと見覚えのある真っ暗な空間にいた。そして、目の前には椅子に座った女神…


「また、会いましたね。八乃介さん…どうでしたか?いや、すごいですよ。ほとんど刀だけで、オーグやヘルウルフどころかミノタウルスにオーグパラディンまで倒すなんて…普通なら100回は死んでますよ。さすが、稀代の人斬りです。」


場違いな事務的な調子に頭に血がのぼる。


「ッ…うるさい!何のつもりだ…あんなふざけた世界に送りやがって。なんだあの化け物は!」


「そんなに怒らないでください。説明を聞かなかったあなたが悪いんですよ。まぁ、聞いていたとしても古代龍に会うなんて不運は同情しますが…あれはあの世界では最強の1柱ですから。」


相変わらず事務的に話をする。女神…


自分が悪い事は分かっている。だから、これは八つ当たりだ。


「あなたには念話ともう一つ能力を与えたはずですが、一度もそれを使われていませんでした。もう一つの力は万死鏡…」


「今更、知ったところでどうにもならん。」


俺の言葉を無視して女神は続ける。


「--どこを斬ればその物体が壊れるか分かる能力です。示された所を寸分違わず斬れればですが…あなたなら使いこなせるでしょう?」


「どうにもならんと言っている!」


「まぁ、聴いてください。これまであの世界にあらゆる時代、あらゆる国の英雄を何万人も送りましたが、あなたより長く生きた人はいませんでした。人が生きるにはあの世界の生き物は強すぎるからです。」


ああ…そうだろう。若い鬼でさえ武装した人間10人よりも強い。ミノタウルスなどは一匹で戦況を覆しかねない。古代龍に至っては勝てる手段が見当たらない。あんな環境ではほとんどの人間は死ぬだろう。でも、そんな話を聞かせてどうする?もう全てがどうでもいい…


「ほとんどの者が絶望し、前世と同様にあの世界を拒絶しました。その中で、あなたは死ぬ直前にあの世界で生きたいと願っています。こんなことは初めてです。」


そりゃそうだ…出来ることなら今からでも戻りたい。

あいつを守ってやりたい。ずっと一緒にいてやりたい。


親を殺され、恩人に捨てられた俺だから痛いほど、あいつの気持ちが分かる。だから、ついあいつに甘くなる。


今…気がついた。俺は見つけた当初のあいつに自分を重ねていたのだ。


「故に、第三位管理者たるルーフェンストラ・ペルコシスが名において問う。汝…八乃介は第六世界においてハイオーグの娘を救わんと欲するか?」


突然、女神の声が力を帯びる。先のエンシェントドラゴンが霞んで見えるほど…


そんなの決まっている。助けられるのなら今すぐにでも


「よろしい!ならば我が権限において汝に第六世界における新たな生命を与える。第三位管理者たるルーフェンストラが命じる。汝…世界を救いたまえ!」


その言葉を聞いた瞬間、遠ざかっていく女神の声…


「この転生はおまけです。今後は、死んだら終わりですので注意してください。ああ、それと貴方がずっと探しているあの花の名はーー」


そうか…あの花は

✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎


体に熱が戻る。血が通うのが感じる。目を見開き立ち上がる。


そこは、意識を失う直前の世界…


「…させない…殺させないヤーノスケは絶対に!」


「おい!何…勝手なことやってんだ!」


その時、龍も白いのも驚いた顔でこちらを見る。


『ば…馬鹿な!余の一撃を食らって立ち上がるなどありえん。』


「ヤーノスケ!」


「ああ…とりあえずどいてろ。」


嬉しそうに駆け寄ろうとする白いのを制する。すると途端に不安気な顔でこちらを見てくる。ころころ表情が変わる。忙しい奴だ。まぁ、俺があれだけあっさりやられれば当然か。


「すぐに終わる。そこで待ってろ。」


有無を言わせず、そう言うと刀を構え直す。


『ふはははは…大きく出たな人よ!すぐに終わらせるだと?…この死に損ないが』


俺は一言唱える。


「万死鏡!」


その瞬間、世界が色を失った。あらゆるものに線が引かれる。まるで地獄に繋がるような禍々しい線だ。もちろん龍の身体にも見える。そして、周りの動きがひどくゆっくりに見える。


同時に身体のあちこちが軋む、目が霞む。念話と違い、使用条件があるのは万死鏡が負担の大きい能力だからか?ただ、それ以上に全能感が湧き出てくる。目に見えないが、刀が振動しているのが分かる。


古代龍の尾が目の前に迫ってくる。次の瞬間、悲鳴が木霊する。


『ぎゃああああっ!』


古代龍の自慢の尻尾は何の抵抗もなく切断され、勢いもそのままにあらぬ方向へ飛んでいく。


『き…貴様…何を?何をした?余を傷つけるなど…』


警戒心を露わにする古代龍…おそらく今まで傷つけられたことなどなかったのだろう。


いや、警戒心というより、怯えに近いだろう。絶対的に有利な者ほど窮地に弱い。そう考えながら無造作に歩み寄る。


古代龍は怯えを振り払うように、胸を膨らませると炎を吐き出す。しかし、それにすら線が見える。


俺が軽く刀を振るうとその炎は搔き消えた


『ば…ばかな!?』


そして、目が合う。


『な…その目は龍王の勅眼(ちょくがん)…馬鹿な…ありえん…貴方(あなた)様は…フフ…フフハハハ!なるほど…なるほど。』



?俺の目を見たとたん、古代龍は得体の知れないモノへの怖れではなく…まるで使えるべき主君を見つけたかのように跪く…。


『お許しを…偉大なる存在よ…貴方様が顕現されるなど…いえ…知らなかったとは言え、許される事ではありますまい。この命をもって償いましょう。』


ん…?何コレ?どうしよう?

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