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REVENGE ~リベンジ~  作者: しもちゃん!
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ソラの過去

ソラの過去編です!



どんな人間にでも親はいる。

科学族の少年、ソラ・スカイも例外ではない。

ソラの両親は政府直属の科学者であった。

両親が家に帰ってこない日や、一人で食事をした回数は他の子供たちよりも多かったであろう。

しかし、それでも彼は父と母の愛を感じていた。尊敬していた。いつも会えるわけではないけれど、いつまでもこんな幸せが続くのだろうと思っていた。いや、この日常が壊れることなんて頭の片隅にもなかった。


しかし、そんな願いとは叶わないものである。


ある日、家に帰ると、人の気配がした。ソラ・スカイは久々の家族との団らんだと思っていた。そう思って扉を開けるとなかにいたのは黒い制服で身を包んだ男たち。政府の人間であった。部屋は荒れ放題であった。異常な出来事を目にしても、父と母は政府の科学者。なにかの資料を仲間たちが探しにきたのだろう。幼いソラ・スカイは考えた。


父と母のお友だちですか?


そう質問をした。黒い男たちは


お友だち?どうかな?だったのかな?


と嘲笑うかのごとく答えた。ソラ・スカイはこの部屋を覆う気持ちの悪い空気に気がついた。男たちはその時、ニヤリと笑い急にソラ・スカイを拘束し始めた。

なにがなんだかわからない。それが彼の心情であった。か弱き少年の力では抵抗と名のつく抵抗もできなかった。頭に強い衝撃を感じた。薄れゆく意識のなかただ男たちの笑い声が聞こえるだけだった……








うめき声、泣き声、叫び声、そして変な金属音。

その音で少年め目覚めた。ただ倒されていただけで拘束はされていなかった。まだ完全に目覚めていない意識で考えた。なにが起こっているのだろう?先程の音はなんなのだろう?と。後者の答えはすぐに出た。

起き上がり、首を動かし、顔を上げて……そして自らが目に映ったのは天井にくくりつけられた鎖その先にあったのは、いや、いたのはよく知った顔だった。父と母であった。そして先程のうめき声の正体が彼らだと理解した。鎖に繋がれている尋常では無い景色であったけれども少年が感じたのは父と母に会えた、その事実による安心感であった。

近くに行こうとして足を前に出した。しかし、前に進めない。周りを見渡し少年は気づいた。ガラスの部屋に閉じ込められているのだと。笑顔が固まった。おかしい、おかしい、おかしい、おかしい!視界の端に人の気配がした。そちらの方を向くといやしく、汚く、醜く笑っている人物がいた。なんの前触れもなくそいつはいった。


そこの目の前にスイッチがあるだろう?白のスイッチを押すと母が、黒のスイッチを押すと父が落下する


と。意味するのはどちらかの死。少年はますます意味がわからなかった。そいつはまたいった。


この父と母はな、とっても悪いことをしてたんだよ。だから、殺そうと。でも、こいつらは最後になんとしてでもお前に会いたい、そう言うんだ。うざったかったが私は優しい!しかも頭もいい!だから思いついたんだ!お前にスイッチを押させて死刑を実行しようとなぁ!コイツらも満足だろう!息子が殺してくれるんだ!悪い条件じゃないだろ?どちらか片方は助かるんだ!フハハハハハハハ


幼い、まだ世の中の事をよく知らない少年でも気づいた。こいつが言っているのはただのエゴ。両親の研究で自分の立場が危うくなったからこうするのだと。はやく押さないとどちらも落ちてしまうぞ。そいつはまた言った。考えが今起こっていることに追い付かない。追い付いていない。


おいおい早くしろよ!ガハハハハハハッッツ!


醜い声が響く。そのときピピッと電子音がした。そちらの方向をむくと120の数字から119、118と1つづつ減っていった。意味するのは残り時間が2分ということ。

少年は泣きじゃくった。なぜ自分がなぜ父と母が…

そのとき、凛としたまっすぐの声が少年の耳をつらぬいた。


私のスイッチを押すんだ!ソラ!早くしろ!私のだ


父だった。


あなた!ダメです!あの研究を続けれるのはあなただけなのに!


俺はいいから、はやく押すんだ!押してくれ!ソラ!


父の声は震えていた。涙も出ていた。それでもその目には覚悟があった。その覚悟はソラ・スカイの覚悟になった。男の覚悟。ほかに言いようがなかった。


いきなり過ぎてなにがなんだかわからないよな?

ごめんなぁ…いっつも帰ってくるのは遅くてさびしい思いばっかさせて…与えられたのは冷たいご飯と孤独だけ…それでも俺たちはお前を愛している…

さぁソラはやく…


なんで僕が、お父さんとお母さんを殺さないといけないんだ!なんで!なんでなんでなんで!僕も大好きだから!ねぇ!お願い!イヤだよ!おかしいよ!僕は…僕はぁぁあああ!!!!


そんな叫びを父は遮る


ソラ!もう勘弁して…くれよ なぁ…


父だった。それは紛れもない父だった。家族だった。父だった。父だった。父だった。残りの時間はもうなかった。少年は覚悟を決めた。いや覚悟?そんなものを通り越していた。

お父さん。そう、叫び、真っ黒なスイッチを押した。

聞こえたのは人間が地面にぶつかる鈍い二つの音だった…

読んでいただきありがとうございます!


がんばります!

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