2000vs30!
魔法族の大軍を前にしてソラとシャインはどう戦うか…!
魔法族率いる大軍が押し寄せてくる。
小さな川は踏み荒らされ、空中を舞うランクBのエンジェルの翼のはばたきは砂塵をつくる。
あまりの物量にたった30人ほどの味方は動揺をかくせない。こんな大軍を目にして死をイメージしないやつはよっぽどのバカか修羅場を潜り抜けてきたものだろう。
「なんか、すごいアリの大軍に見えるね~」
「なんかこんな状況でも落ち着いてる自分が恐ろしいよ」
たしかにこんな状況には似つかわないような━晴れ晴れといった方がよいような━表情をシャインはしていた。
「う~ん、まぁたしかにすごいんだけどあのときよりは力も仲間も武器もあるからね~ん??」
そう言ってソラは遠くのほうを見つめる。
「どうした?」
「いや、今回も率いてる魔法族の人間は一人だなぁって思ってさ。みんなでやったら勝てそうなのにね~」
「まっ、あちらさんにもいろいろあるんだろう?」
その間にもだんだんと軍隊は町に近づいてきている。
町の回りに防壁はあるものの、この大群の前にはあまり意味をなさないようだ。そして、敵が壁のおよそ1キロメートルのところにきた。
「うん、そろそろ…かな?」
シャインはそう言って左右にいる人物に指示を飛ばす
「よし!クリル!ボルコット!お前ら二人は空中からグレネードを投下。のちすぐに退却しろ!」
『承知!!!』
ベクトルを着た人間の強く地面を蹴る音がする。シャインとソラの横を風が巻き起こる。その風は地面を蹴り、空を蹴り、瞬きかと思えるほどの短時間で敵上空まで行った。
「隊長!投下します!」
無線からその声が聞こえた数秒後、爆音が空気を揺らす。
「おお~すげー!ビリビリするぜ!これどやったの~」
ソラが耳を塞ぎながらシャインに訪ねる。
「実はあそこに見える小さな川あるだろう?あそこの水、いや水に見えるのは全部、無臭の油なんだ。そんなとこをあんな大軍が踏みつけたら油はいろんなとこに飛び散るだろ?あと、地面には大量の火薬を撒いておいた。エンジェルの翼の風圧でそれは舞い散る。そして舞い散ったそれはエンジェルやバイス、スカルターの体に大量に付着する。これで完了。あとは火をつけて上げれば…もはやあそこは爆発地獄の領域だ!
さて、これで全滅してくれたらほんとに嬉しいんだけど…」
5、6分たった頃ようやく爆発が収まった。もくもくと砂煙が現れている。その砂煙の中に影がうっすらと陽炎のようにあらわれる。
「やっぱそんな簡単にはいかないよねー。でも数は減らした…残りの敵は…500くらいか?」
めんどくさそうな顔をしてシャインは無線機に手を伸ばす。
「アルファ隊はポイント16、ベータ隊はポイント23、オメガ隊はポイント28に移動。合図があるまで待機。いいか?お前らの命は俺に預けろ!なんて言わない!命は自分のものだ!他人のものでも、使われるものでもない!俺のために命なんかくれてやるな!今日生き残って明日うまい飯くって好きな子と話す、そのために戦え!敵を欺く頭脳、お前らの勇気、これさえあればこの戦いすでに勝利を得たようなものだ!下をみるな敵を向け!背をそむけるな、仲間に背中を預けろ!あがいてあがいてあがいてあがいて全員生き残れ!これは絶対命令だ!死んだやつはぶっ殺してやる!いいなっ!!!」
『承知!!!!!!!!!!!』
(いつもとは別人だよな~でもそれがそれこそが今まで死者0人でこの町を守れた要因なんだもんな~)
ふぅっと息をつき、隣のソラをみる
「お前は大将をやるんだ、みんな必死だ。頼むぞ!」
「あぁ言われなくてもわかってるさ。でも、どうせ俺が死んだときの為の作戦もたててんだろ?まったくやになるよね~」
わかってんじゃんと言わんばかりの笑顔を向ける。
「もう、そろそろ時間じゃない?」
そう問いかけるとシャインは音をたてて息をすう。
「全軍!!進撃!アルファ隊は敵を囲むように前進!ベータ隊は上空から敵、中央に降下!内部から撹乱!オメガ隊はアルファ隊、オメガ隊が追い詰めた敵の掃討!なぁ?2000の相手によ30の人数で勝ったらこれ、もう伝説級だよな?さぁこれはチャンスだ!歴史に俺らの名前を!」
『うおおぉおおおおおおおお!!!!!』
ベクトル兵の強く大きい声の爆音が響く。
「さて、俺とお前は今から敵の大将を倒しにいくぞ!
俺の出せる指示は全部出した。二人の方が効率戦える。」
ソラは楽しそうにくくっと声をあげて笑う
「最近、お前指示ばっかだして、あんま戦わなかったから二人でタッグ組むのは久しぶりだな。」
「いつもの通り…」
「お前がメインで俺がサポート…だろ?シャイン!」
「あぁ、よしいくぞ!」
二人はベクトルを起動させる。二人は無敵の心地であった。顔を合わせるだけで何を考えているかわかる。お互いにニヤリと笑いあうと音をたてて走り始める。空中を蹴り、高くとび、あっという間に敵の地点までくる。
「シャイーンなまったんじゃないの?遅いよ~」
「運動バカと一緒にすんな!」
「はははっ!なぁやっぱりここは…」
「正面衝突!とか言い出すのはわかってる。ダメだといって聞かないのもわかってる。効率が悪いのになんでわざわざね…」
「後ろから襲っても気分悪いじゃん?」
やれやれといったようにシャインは肩をあげる。敵の背後にいた二人は敵に近づいていく。距離およそ30メートルほどになったところでソラが一歩前にでる。
「やぁーいやいやいやい!この町を落としたくばわ我ら二人を倒していくがよいぞぉぉおおお!!!」
(いやいや…全然きまってないよソラ…)
空中に浮遊していたそいつはゆっくりとこちらを向く。
「早く、こっち向けってんだよ!」
完全にこちらを敵は向いた。その時、二人の心臓がドクンと音をたてる。知った顔であった。その知った顔が忘れもしない声で呟いた。
「ん?お前ら金色の太陽に…それにお前は青い閃光か?また会えて嬉しいぞ」
二人にとって復讐で怨みで怒りで許すことのできない過去との再会であった。
この小説を書く前
読者様たちからコメントをいただくのが夢でした。
今も夢なんですが…
お時間があればコメントしてください!!!
さびしいです!!!(涙