第一の敵。
頭脳明晰になるんだ!
「よし!ではあと30秒後に作戦を実行する!」
無線を通して許諾の声が返ってくる。
「ソラ、準備は出来てるか?」
「あたぼうよ!!」
「今回は出し惜しみはしないからな!魔法を使っていく!」
「え?んじゃ俺もリミッター外していい!?!?」
「いや、それは牙を相手にするときにとっとけ!」
「な~んだ… つまんね」
「もうそろそろだ… 3… 2… 1… 」
その時、巨大な爆発音がとどろいた。
「よし!今だ!いくぞ!ソラ!」
「おう!」
二つの影が爆発で煙をあげているタワーの入口へ飛び込んでいく
「お、お前らなんだ!?」
中に入ると煙は薄くなっていたので衛兵に見つかった。
二人は背中を合わせて立つ。
「すいませ~ん!族長にようがあるんですけどぉ~」
「ここを通せば危害は加えない。だから通してくれないかな?」
「バ、バカにするなっ!!!!」
衛兵の一人がそう言うとそいつは刀を持って襲いかかってきた。それに続くように何百人もの兵が詰め寄ってくる。
二人と衛兵の間にあった長い距離がグングン縮まる。
「まぁ、通さないのが仕事だからな。そりゃこうなるか… 」
シャインがそう言い、指をパチンと鳴らす。
すると兵たちの塊の中でいたるところから爆発音が聞こえる。
「気体操作、水素爆発。」
シャインは空気中に含まれる水素を集めて、それを広範囲に散らした。
「殺傷力はゼロに等しい… けど、足止めには充分。
いいか!お前ら!これ以上突っ込んでくるなら痛い目にあうぞ!」
シャインはもう一度呼び掛ける。
しかし、一度は歩みを止めた兵たちも、また襲いかかってきた。
「はぁ~ムダな魔力の消費はイヤなんだよ~」
パチン。もう一度指を鳴らす。バチバチバチと次は放電音がする。
「気体操作、超電圧空気摩擦。水素爆発で発生した水を通してお前ら全員に失神する程度の電気を空気摩擦によって発生させた。ん?まだ耐えきれるヤツもいるか… 」
「シャイン!もー充分!」
辛うじて気絶に耐えた衛兵たちの表情は恐怖でいっぱいであった。
「そうみたいだね。」
二人はカツカツと一階の奥にあるエレベーターへと歩みを進める。
「くっ… うっ… 」
呻き声をあげるのが精一杯。二人を止めることができるものはここにはいなかった。
「ん?これ20階までしかないよ??」
「ほんとだ。防犯上一気に100階までは行かせないようにしてあるね」
「んじゃ、まずは20階までいこうか!」
「そだな!」
二人はエレベーターに乗り込み20とかかれたボタンを押す。
10秒もたたずに、チーンと到着の合図を知らせる音がなる。
ドアが開く。二人が降りると50㍍ほど先であろうか。
そこに男が三人立っていた。
「長く衛兵をつとめているが、ここに来たのはお前らが初めてだぜ!」
中央に立っている男が言う。
「あんたらだれ~?」
「ふっ… 私は、私たちは族長直属の親衛隊『牙』の直属の親衛隊のっ!『トリプル』だ!」
ソラの問いにそう答えた。
「ま、まじで!?」
「ふふっ驚いたか!」
「っ… あぁ!めちゃくちゃ驚いた!
だってすっごいボスオーラ出しといて結局あんた族長のなんなの??ってキャラだから!ただのヒラじゃん!」
「をいっ!バカにするのか!
この俺たちを!」
男は顔を真っ赤にさせて唾を撒き散らす。
「俺たちはな!昔… 」
「あ、過去の栄光話はけっこうです!」
シャインが男の話を遮る。
「あっ… そうですか… っておいぃいい!
話を聞けや!!」
「え~話聞かないとダメぇ~?」
「ダメだ!」
ソラの問いにそう答えた男を見て、仕方がないなとシャインは諦める。
「では、どうぞ?お話ください」
「ふふふっ!俺たちはな5年前、この町にきた。自分達のしたいことをしにきたんだ!なにしにきたと思う?」
うーん、とソラが考え込む。
「なんだろう、俳優?いや、顔的に無理か… 」
「さりげなく失礼だよ!まぁ、いい… 俺たちはこの町に人殺しをしにきたんだ!あのナイフを刺したときの快感がもうやめられねぇんだ… ふはは300人は殺したかなぁ300人だぞ!300人!」
ふぁあ、とあくびをしてシャインが言う。
「んで、おじさんはなにが言いたいの?」
ニヤリとゲスな笑いをする。
「逃げるなら今のうちっていいてーんだよ!」
「あ!そーだったの!けど、俺ら帰るわけにもいかないし… 」
「そうか!なら戦うしかねーな!」
男たちがナイフをとりだし、ベクトルを起動させる。
それを見てシャインがソラに話しかけた。
「なぁ、ソラ?」
「ん?なに?シャイン?」
「なるべく魔力を使いたくないんだ。だからここは任せていいかな?」
「もちろん!がってん承知のすけ!」
ソラはそう言うと、両手をかまえ、戦闘体勢になる。
それを確認すると男たちが突っ込んできた。
「んん?てめー一人か?ふはは!せめて楽しませろや!」
男たちがベクトルを使い、ナイフで攻撃すると、その一撃はもはや、弾丸のようである。
一秒間に何回であろう?何十回であろう?
とにかくとてつもなく速い攻撃である。
「ほっ!ほほ!よっ!」
空気を切り裂く音しか聞こえない。
驚くべきことに、ソラはその攻撃を生身で避けていた。そう生身で!ベクトルさえ使わずに!
「おいおい!なめてんのかぁぁあ!!!!
俺たちにベクトルなしで勝てるわけないだろぉが!
ソラはきょとんとした顔をする。
「えっ?だってこれで充分じゃん?」
「このっ… くそ野郎がぁぁあっ!!!」
男たちの怒りのせいか、ナイフでの攻撃スピードが速くなっていく。
しかし、それでもソラに当たらない。
生身で軽々と避けながらソラは男たちに訊ねた。
「ねぇ?本気だしてるの~?」
はぁー、とため息をしながらナイフを避ける。
「本気出してないと思ったんだけど… 弱すぎるよ… それが本気ならもういいよね?」
ソラは体をギュインと捻る。
「終わりにするよ… 」
「て、てめぇっ!ぶっ殺してやるっっつつ!!!!」
男はナイフを振りかざした。いや、振りかざそうとした。
「なっ… !なんだこりゃ!?」
男たちの体を糸が覆っていた。
「おじさんたちがナイフで攻撃してくる軌道上に糸を垂らせば勝手に絡まってくれるんだよね。いや、ほんとに気づいてないとは… おじさんたち動き大きいしさ。ん!あー、ほどこうとしても無駄無駄!鋼鉄製だからね!」
ギシギシと音をたてるだけでいっこうにほどける気配はない。
「このっ!くそが!」
「… 100分の1」
ソラがそう唐突に言葉を投げ掛けた。
「は?なんだ??」
「人を殺した数だよ… 」
ふははと男が笑う。
「なんだよオメーらも殺してんのか!けど俺らの100分の1って… ふははは!!たった三人だけじゃねーか!」
「違うよ… おじさんたちが100分の1なんだよ… 」
ソラは無機質な声で続けた。
「俺たちが殺した人数は…
四万人だよ… 」
それを聞いて男たちは一瞬きょとんとした顔をする。
「は?… は?ははははっ!おもしれぇな!嘘も作戦のうちか?」
そんな男たちにコツコツと歩みよる。
「別にさ… 人を殺したから強い弱いとかを言いたいんじゃないんだけどね… 」
腹から絞り出すように声を出す。
「人を殺して、楽しんでる… 笑ってる…
そんなやつにはさ… 」
顔を上げ、男たちに見る。
そのソラの目をみて男たちの笑っていた顔が凍りつく。
ソラが糸を持っていた手をひゅっ、と振る。
「生きてる価値、ないと思うんだよね… 」
男たちの胴と首が離れ… 血飛沫が舞った。
読んでいただきありがとうございます!
タワー編はなかなか力をいれております!
どうぞ!お楽しみに!




