特別な時間
前回のおさらい
とりあえずホワイトカレー
「ソラっ!ソラっ!」
ポイズンクッキングを食べた次の日の朝、シャインが
大慌てと言った様子でソラの家の戸を叩く。
「はい!今出ます!」
返事をしたのはリンだった。
「あれ?ソラは?」
「なんか夜、眠れなかったようでまだ寝ていますが」
「わかった!!」
シャインはそう言うとソラの寝室へと向かう。
「ソラ!入るぞ!」
シャインは扉をノックもせず開けて入る。リンはソラの寝室に入るのは初めてだったため少し入り口で躊躇する。そのまま引き返すのも変だったので少しの間の後シャインに続けて入る。
「ソラ!起きろ!起きて!」
ユサユサと揺する。
「無理…これ以上は無理…死んじゃう…」
前日の死のホワイトカレーを思い出しているのかそんな寝言を言う。
「なにいってんの!起きて!」
頬っぺたを軽くペチペチと叩いてようやくソラは起きた。
「ん~あれ?なんでシャインが???」
まだ少し寝ぼけた様子である。
「大事な話なの!ちょっと顔洗ってきて!」
「ん?ん~わかった~」
ふらふらと部屋から出ていく。それをリンは目でおったあと部屋全体を眺める。
「ソラの部屋ってほとんどなにもないですね…あるのは……ベクトル?青いベクトルとベットと机と…赤いガラス?くらいですね」
それを聞くとシャインは少し寂しそうな顔をする。
「あれ?ソラから聞いてない??」
えっ?とリンは言い、なにかとはなにか、と考える。
そんなときシャインはボソリと呟いた。
「リンさんは家族がいる?」
いきなりどうしたのか?と戸惑いつつもリンは答える。
「ええ、魔法族の故郷にいますよ。」
「友達は?」
「はい、学校にいた頃にはいましたよ?」
「勉強とかした?」
「もちろん学校ですから」
「遊んだりした?」
「ええ、それは……あの…いきなり」
「それは当たり前のことだよね?…でもさ俺たちにとっては特別なこと。でも、その特別なことは俺たちにとっては当たり前のことで君たちにとっては特別なこと。」
「えっ…と、どういう…意味で?」
今度はにっこりとシャインは笑う。
「家族を、友達を大事にしろ!っとかそんな気持ちの悪いことをいいたいんじゃないだよ。でも、でもね…ほんとにごめん!君じゃ僕たちの気持ちがわからない。わかれない。僕たちじゃ君たちの気持ちをわからない。わかれない。意味わからないだろうけど、僕が言えるのはここまで!!あとはソラに聞いて!大したことじゃないんだけどね!」
リンは少し胸に違和感を感じながらも、わかりましたと返事をした。
「シャイン~顔洗って歯ぁ磨いてきたよ~。大事な話ってなにぃ~?」
シャインは座っていたベットから立ち上がった。
「二人組の内の一人がわかった。」
シャインがそういった瞬間、ソラのいつものとぼけた顔が鬼の顔へと豹変し、部屋中が氷河の中のような凍てついた空気となる。殺気、それだけが部屋を満たしていた。
「ソ、ソラ?…」
「ごめんけど君は外に出ていてくれる?」
「え?…で、でも…」
「ごめんけど外に出ていてくれる?」
同じ言葉を繰り返し、こちらに向けた顔は、目は、言葉は、恐怖そのものであった。ソラの存在そのものが『恐怖』であった。
「……は、はい」
リンは消えるような声を残し部屋から去っていった。
「それでシャイン、どこのどいつだ……」
それから数十分たったあと家のそとにいたリンはソラとシャインに呼び出された。
「もう、いいですよ、リンさん!」
「俺、まだご飯食べてないから一緒に食べよ~。」
先ほどの殺気はどこにいったのやら、ソラはけろっとしていた。そんないつものソラにリンはほっとする。
「私が作ります!!」
「え!?いや、いいよ!俺がつくるよ!!」
「なんですか?私のじゃいやなんですか?」
「いや、そういう訳でなく、ですね、……たまには俺のも食べてほしいかなぁ?なんて?」
そんな会話が繰り返される。
(平和だねぇーでも、ソラ?これから僕たちは世界を相手にしなければならないんだよ……)
「ソラ、リンさん、用事は終わったので帰りますね。」
ソラは助けてといった表情でみつめてくる。
「帰るね!!」
がくっとソラは膝から崩れ落ちた。
シャインが帰ったあと、どちらが朝食をつくるか、といった題材で討論は続いた。
(愛をとるか……死をとるか……DEAD OR LOVE……アホか!どうしよう……!!!あっ!そうだ!)
ソラはひらめいた答えを投げかける。
「もうさ、お昼近いしご飯は食べにいかない?町案内も不十分だったし!」
「~まぁそれならいいですよ」
リンはまだ納得してないといった様子だったが渋々と提案を受け入れた。
「じゃあ、行こう!」
(逝くのが天国じゃなくてよかった~!!)
「ソラ!!!今、なにかいたらぬこと考えてませんでした!?」
「え!?いや、考えてません!!ほら!はやくいこう!」
そうしてソラとリンは出かけはじめた。道中で夜ご飯はどうするか、どちらが作るかという論争が再び勃発した。街につく頃には勝利をリンが勝ち取っていた。
「ここのご飯がおいしいんだよ!!!昔あったといわれる日本っていう国の料理!天ぷらに、お寿司!
食べよ!食べよ!」
運ばれてきた料理をリンは食べて感心する。
「おいしいですね……!」
「だろ?だろ?」
「家に帰ったら真似してみます。」
「ごめん、今なんて?」
「家に帰ったら真似してみます!って言いました!!
まったくおじいさんですか!」
「あ、あはははーーー」
ソラの身体中に冷や汗が流れましたとさ。
頑張れソラ!




