第一章 ~ I think you(何してるの?) ~ 第六話
「ふん、里の誰にその話を聞いた?」
「それは……」
ラチアの質問に、なぜか商人は答えるのを躊躇している。
「た、立ち寄った酒場でたまたま耳にしただけですので『誰』と特定するまでは……」
「そうか、では無駄足だったな。そのアニオンは手当の甲斐もなく死んだよ」
「え? 死んだ……のですか?」
『はへっ? ボク、死んじゃったの?』
二人の会話を聞いていたラヴィはビックリして自分の胸に手を当てた。
……ちゃんと心臓は動いてる。息だってしているし、ほっぺに手を当てても温かさを感じる。
『ん? ボク、生きてるよ?』
どうやらラチアは嘘をついているようだった。
「あぁ。里でどこまで話を聞いたのかは知らないが、ここに逃げ込んできたときにはもう虫の息だった。アニオンを追ってきた奴らは皆酒に酔っていて興奮してたからな。ただ捕まえればいいだけなのに、加減もなしに殴りつけていた。まったく、可哀想なことをする」
「なんと、それは勿体ない」
商人の言葉に、ラヴィは違和感を覚えた。
すぐにはそれがどうしてなのかなんて分からなかったけれど、二人の会話を心の中で復唱してみてわかった。
ラヴィが里の人間に暴行されて死んだことをラチアは『可哀想』と言い、商人は『勿体ない』と言った。
二人は同じ人間なのにラヴィに対する心の置き所は全く別の所にあるらしい。
「ま、そういうことだから帰れ。靴を買わない奴に用は無い」
「そうですか……。では、ここまで来たことですし、せっかくですから」
「靴を買っていくか?」
「いえ、別のものを買わせて頂きたいと思います」
「……ちっ。別のもの? なんだ」
「そのアニオンがどの辺りに住んでいたかをご存じでしたら、その場所を教えて頂きたい。もちろん、情報に見合った金額は出させて頂きます」
「場所を聞いてどうする?」
「のこのこと人里に下りてきたアニオンがいるのなら、この山の中には他にもアニオンがいるはずです。野生のアニオンは同種で集落を営んでいる場合が多いですからね。その集落にハンターを送り込んでまとめて狩ると、それはもう大きな商いになります」
「狩ってどうする?」
「はて? おかしな事をお聞きになりますね。当然売るんですよ。ウサギは牛のアニオンのように兵士にできるわけでもなし、馬のアニオンのように農耕用の労働力になるでもなし。しかし、ウサギはウサギでそれなりに需要はあるんです。まぁ、主に愛玩用ですけれどね。人間の奴隷とはまた違う楽しみ方もできますから」
商人はそう言ってから意味ありげに「くっくっく」と下卑た笑い声を漏らした。
同時進行で『賢者タイムの軍師様 ~ 軍師、露出……じゃなく、出廬する ~』もUPしています。
http://ncode.syosetu.com/n1747by/
居城を攻め落とされて『元王女』になってしまったミルクマードが、悲願の王家復活を果たすために賢者を求めるのだが、その賢者は女性物の下着をかぶってハッスルしている変態だった。という内容です。
※プロローグと、中盤以降は下ネタの連続になりますのでR15設定にしてあります。
下ネタOKで、且つ、お時間がありましたら、そちらのほうも読んでいただけると嬉しいです。




