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LIFE GOES ON・・・  作者: shion
第七章 DAY BREAK
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1

 俺の理性はもろくも崩れ去った。

 俺は、衝動を抑えきれず、彼女を抱き寄せ、キスしてしまった。

 誰かをこんなにも激しく欲した事なんか、今まであっただろうか・・・

 彼女は少し抵抗している。

 だけど、俺の情熱は止まらない。

 

 あなたを本当に愛している。あなたの全てを・・・どうしてもあなたが欲しい。

 

 彼女の力が少しずつ抜けていく。俺はその心地いい重みをしっかりと抱き止め、口づけを繰り返した。

 

 さつきさん、あなたの全てを、俺に預けて欲しい。

 あなたのその寂しさも心のキズも全て。

 俺の胸に、飛び込んできて欲しい。俺はあなたの全てを受け止めたい。

 その自信は、ある。

 あなたの全てを包み込んでしまいたい。俺の全てで、埋め尽くしてしまいたい・・・

 あなたの心の痛みの身代わりにはなれないけど、傍にいる事は、出来る・・・

 

 彼女との口づけはあまりに官能的で、俺は自分の衝動にブレーキをかける事など出来なかった。

 がっついちゃダメだ・・・頭では解かっている・・・・・

 

 俺は彼女のブラウスのボタンに手をかけた。

 一つ・・・二つ・・・ボタンを外していく。彼女の柔らかな素肌が、あらわになっていく・・・

 

 その時、「ピンポーン」インターホンが鳴った。

「柊くん・・・誰か・・・きてるよ・・・」

 彼女が口づけの合間に言う。

「いいよそんなの・・・ほっとけば・・・」

 俺は口づけを繰り返す。「ピンポーン、ピンポーン」

 

 んだよしつけーなぁ、今すごくいいとこなんだよ・・・

 

「ピンポーン、ドンドン柊いないの~。」

 え?お袋の声だ。

「柊~いないの~。ねえ、柊~。」

「やべえ、お袋だ。」

「え?そうなの?」

 俺達はあわてた。

「私、どっかに隠れようか?」

 さつきさんがブラウスのボタンをはめながらあわてている。

 その姿って、なんかすんげぇかわいい。

「いいよ。このままで。」俺は少し笑って玄関へと急いだ。

 

「今開けるよ。」

 俺は玄関を開けた。

「なんだ柊、いたんじゃないの~。」

 お袋は、膨れっ面しながら入ってきた。クツをぬごうと下に視線を落す。

 そこにはさつきさんのクツ。

「なんだ柊、彼女来てんの?」

 お袋は興味津々って顔で俺を見た。

「ん・・・まぁ・・・」

 

 お袋は、子供の俺が言うのもなんだがすごく若く見える。もう45にもなるってのにスラッとしててスタイル抜群。

 体にピッタリとフィットしたジーパンやTシャツを平気で着こなす。薄化粧でもそこそこイケてる。

 どう見たって35,6位にしか見えねえ。

 そして性格もハチャメチャ。嵐のような女だ。

 お袋は、すごい勢いで部屋へと入っていった。

 

 

「どうも初めまして。水野さつきです。」

 さつきさんが引きつった笑顔で言う。

「あら、初めまして。柊の母です。柊がいつもお世話になってます。」

 お袋がニコニコと言う。・・・なんだちゃんと母親らしい事言えんじゃん。

「ずいぶんキレイな人ね。見たところ、柊より年上に見えるけど・・・失礼ですけど歳、いくつ?」

 

 お袋・・・やっぱ飛ばしてる・・・

 

「29です。」

 さつきさんはさらに引きつりながら答える。

「あら、じゃあ柊より4つ年上なのね。」

「はい・・・」

 そう言って、髪をかき上げた彼女の指に、お袋の目が止まった。

「結婚指輪!柊、あんた不倫してんの?」

 お袋の血相が見る見る変わる。

「ちがうよ、彼女は・・・」

「すみません。私、違うんです。私、柊さんとは別に、お付き合いしてる訳ではありませんから。それに、主人は4年前に他界してるんです。」

 さつきさんが俺の言葉をさえぎって、そう言った。

 その口調は、落ち着きを取り戻している。

 

 そりゃそーだけどよ・・・確かに・・・

 

「あら・・・そうなの・・・ゴメンなさい。じゃあ何で、こんな時間に柊の部屋に居るの?」

 

 お袋・・・そのキョ-レツさって・・・やっぱただのオバサンだぜ。

 

「あ、すみません、私、同じ出版社で働いている水野と申します。」

 彼女は名刺をお袋に渡した。お袋は黙ってそれを見ている。

「柊さんとは仕事で今、コンビ組んでやらせていただいてます。今もちょうど取材の帰りで・・・ちょっと写真をチェックしにお邪魔してました。」

 

 キビキビと言うあなたの口調って・・・大人だな。

 俺はスラスラと話す彼女を見て、落ち込んだ。

 

 そりゃ確かにそうだけどさぁ・・・さっきまであんな事、してたじゃんよ~!!

 

 

「それよりお袋、急に来て何の用だよ。」

 俺は、お袋に聞いた。

「ちょっと聞いてよ~パパッたらさ~」

「さつきさん、なんか飲みモン出して。」

 

 俺は彼女を優しく見つめてそう言った。

 さっきの心地いい余韻が、まだ唇に残ってる。

 お袋の怒涛のような愚痴なんか聞くより、あなたを見つめていたいよ。

 あーあ、ったく・・・いつもの事だけど急に来やがってお袋・・・

 あのまんま行けば、アツ~イとろけるような夜が待ってたかもしれないってのに・・・

 俺はお茶を入れるさつきさんを見つめていた。

 

「ちょっと柊!聞いてんの?」

 お袋が、眉間にしわを寄せて言っている。

「あ、ああ。」

「どうぞ。」

 さつきさんがお茶を出す。

「サンキュ。」

 俺の視線は彼女から離れない。

「アーっもう、やってらんない!ビールないの?柊。」

 お袋がダダッ子みたいに言う。さつきさんが気を利かせてスッと立ち、冷蔵庫を見る。

「切らしてるみたい・・・私、買ってくるわ。」

 彼女が言う。

「いいの!柊、あんたが行ってきな。女の人をこんな夜に1人で外に行かせちゃだめよ、危ないんだから。」

「ああ。」

 俺は立ち上がった。

「いいわよ、私、行ってくる。」

「いいよ。俺が行ってくるから。」

 優しく声を掛け、俺は部屋を後にした。

 

 だけどお袋とさつきさん、二人だけにしておいて良かったのかな・・・

 いいわけねーよな・・・

 きっとさつきさん、お袋の餌食になっちまう・・・

 

 俺は急いでビールを買いに走った。


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