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LIFE GOES ON・・・  作者: shion
第六章 why・・・?
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 さつきは泣きながら、彼の部屋を飛び出した。

 何よ、何よ・・・何であんな事言うのよ・・・

 耕作さん、耕作さん・・・

 逢いたいよ・・・逢って抱きしめてよ・・・

 涙が止めどなく溢れる。

 がむしゃらに走っていたが、力尽きてトボトボと歩き出した。

『死んじまった奴をどんなに想ったって、抱きしめてなんかくんねーじゃねーか』・・・彼の言葉を思い出す。

 わかってる、わかってるけど・・・

 それでも、だから余計に耕作への想いは、募るばかりだ。

 誰かが自分の心を手に入れようとすればする程、さつきは耕作だけが、彼の愛し方だけが、恋しくなってしまう・・・

 彼を愛し続けている自分を、守りたくなってしまう・・・

 

 さつきはカバンにいつも忍ばせてある彼の写真を取り出した。

 彼は静かに微笑んでいる。

 

 耕作さん、どうして逝ってしまったの?どうして私を独りぼっちにしたの・・・答えて・・・答えてよ・・・

 返事など、返ってくるはずも無い。

 わかっていても、彼を責めずには居られない。

 

 日々を送っていて、どんどん彼の匂いは消えていった。

 彼がそこにいた形跡は、どんどん無くなっていった。

 彼のシャツ、彼のクツ、彼の歯ブラシ・・・主を失った物達が、寂しそうにひっそりとたたずんでいる。

 そして私の心・・・寂しくて辛くて不安で・・・

 やり場の無い、この心・・・。                           

 きっと私の心はあの時に、彼と一緒に死んでしまったんだわ・・・

 なのに、何でこんなに苦しいの・・・寂しいの?辛いの・・・そして痛いの・・・。

 私はもうずっと、絶望の淵を彷徨っている・・・。

 

 彼はもういない。それは事実。どうしたって、変えようが無い。

 確かに最近では、夫のことを考えて沈んでいるより、柊と過ごす時間を楽しんでいたのかもしれない。彼の瞳や、優しさに魅せられ、彼の見せてくれる世界に触れ、心が少しずつ動き出そうとしていたのかもしれない。

 実際さっきの彼のキスだって、イヤじゃなかった。

 その事に、自分が一番驚いていた。

 

 だけど・・・私はこのままでいい。前になんか進みたくない。        

 

 私が愛しているのは耕作さんだけ・・・

 他のものなんか・・・新しい人なんか、いらない。

 誰だってダメ・・・

 あんな風に人を愛する事なんて二度と出来ない。二度としたくない。

 もう、愛する人を失うなんて、たくさんだわ・・・

 

 耕作が残していったキズは、あまりに大きい。

 

「あなたとの思い出があれば、生きていけるわ・・・」

 写真で微笑む彼に向かって、そう言った。

 

 

 

 

 さつきさん・・・柊は彼女を想った。

 泣いてたな・・・そう思うとさっきの官能的なキスの感触も、どこかへいってしまう。

 

 俺は彼女を愛してる。心からそう思う。傍にいたい、抱きしめていたい。

 いつも笑顔でいさせてやりたい。全てを守り、包み込んでしまいたい。

 彼女は俺に、いろいろな事を教えてくれた。

 彼女といると、世界が輝いて見える。やる気が沸いてくる。

 ただ傍にいたい。それだけだ。なのに、何であんな風になっちまうんだ・・・

 かたくなに死んじまったダンナの事だけを想っている彼女。

 あの人が外せないでいる薬指の指輪・・・

 好きになればなるほど、彼女を遠くに感じる。

 その距離を、イヤという程思い知らされる・・・

 

 俺なんかじゃダメなんだろうな・・・やっぱり・・・

 

 おーい、さつきさんのダンナ!あんたは今、何を思って天国から彼女を見てるんだ?もどかしい想いでいるのか?キスした俺に怒ってんのか?

 俺ならもし、彼女を残して死んでしまったら、どんな想いで彼女を見つめるだろう・・・あの、悲しみの色を浮かべる彼女の表情を、どんな想いで見つめるだろう・・・

 

 終わっちまったんだろうか・・・・俺の恋。


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