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LIFE GOES ON・・・  作者: shion
第五章 his love
25/35

6

「さつきさん、俺の昔撮った写真、見てみる?」

 片づけを終えた彼女に、俺は言った。

「見てみる、見てみる。どんなの?」

 彼女が笑顔で駆け寄ってくる。俺は雑誌やら写真やらを見せてやった。

 でも、あの写真は見せない。俺が撮った、彼女の写真。

 彼女はすごく眼を輝かせて見ている。

 

 この空間が好きだ・・・彼女といる、この空間が・・・

 

「いいね、どれも。私、柊くんの写真って好きだな・・・」

 

 そう言って微笑む彼女の唇を、俺は奪った。

「ちょっと柊くん・・・」

 彼女が両手で俺を押しのけて、うつむく。

「俺は、さつきさんが好きだ。」

 

 

 どうしよう、好きだなんて・・・さつきは、何とか彼から離れようと両手で彼の胸の辺りを押したけど、もっと強い力で抱き寄せられ、あごを引き寄せられ、再び唇を奪われてしまった。

 

「柊くん私・・・」

 何とか唇を離してみる。

 

「キスだけ・・・キスだけだから・・・」

 

 そうささやく彼の声は、驚くほど男っぽい。

 今まで見たことのない“男”の表情を浮かべている彼に、さつきの心は揺れた。

 そして再び彼に唇を奪われた。

 理性が抵抗しろと言う。

 その言葉に従って抵抗してみるけど、彼の思ったより力強い腕から逃れる事は出来なかった。

 

 

 ・・・なんて・・・優しいキスなの・・・

 あまりの心地よさに、力が抜ける。

 彼は優しく何度も私の唇を、唇でなぞる。私は頭の中が真っ白になった。

 そして、この心地いい唇の感触だけを、感じていた。

 

 

 長い長い口づけの後、柊はさつきを見つめた。彼女は戸惑ったようにうつむいている。

 

「俺、さつきさんの事愛してる。」

 

 彼女への想いが溢れそうで、こらえ切れず、柊は言った。

 

「やめてよ、何言い出すの?」

 その言葉に彼女は激しく動揺している。

 

「俺なら、さつきさんを絶対独りぼっちになんか、しない。」

 静かに言った。

 

「やめてよ!そんな風に言わないで。あの人だって、死にたくて死んだ訳じゃないわ!」

 

「わかってる。わかってるけど・・・」

 

「なによ!キスしたぐらいで・・・私が愛しているのはあの人だけよ!

 あの人の代わりなんて、何処にもいない。今までもこれからだって・・・ずっとそうよ!」

 

 彼女は涙を流しながら、激しい口調で言う。

 彼女がこんな風に取り乱しているのを見るのは初めてだ。

 それだけ、彼女にとって核心な部分なんだ。

 

「代わりになろうなんて思ってないよ・・・俺は俺だし。

 だけど居なくなっちまった人の事、いつまでも想ってたって・・・どうしようもないだろ?」

 

 むせび泣く彼女に、穏やかな口調で続ける。

 

 この想いを、解って欲しい・・・俺を、受け入れて欲しい・・・

 

 

「彼を愛していたのよ・・・ほんとに・・・ずっと一緒にいられると思ってた。

 だけど・・・私達の時間は余りに短かった。3年だよ。

 たった3年しか・・・一緒にいられなかった。

 あなたにわかる?こんな気持ち・・・

 それに、結婚する時私誓った。一生彼を愛していくって・・・だから・・・」

 

「だけど彼はいなくなっちまった。そーだろ?ずっと独りぼっちで、寂しい思い、してきたんだろ?寂しくて不安でしかたない・・・いっつもそんな眼してたじゃんか・・・もう1人で頑張んなって・・・

 死んだ奴に義理立てしてどーすんだよ・・・」

 かたくなな彼女の言葉に、半分惨めな気持ちになりながらも、諭す様に柊は言った。

 

 あなたには俺がいる・・・俺がいるのに・・・

 

「義理立てなんかしてないわ!彼はいつだって私の傍にいてくれる・・・」

「だけど、さつきさんにこんなに寂しい思いさせて・・・つらくさせて・・・

 なのにフレームから微笑みかけてるだけで、何もしてくれねーじゃねーか。」

「だけど・・・だけど・・・」

「俺ならさつきさんが寂しいとき、傍にいてやれる。抱きしめてやれる。

 死んじまった奴をどんなに想ったって、抱きしめてなんかくんねーじゃねーか!」

 

 パチン!そう言った俺の頬を、彼女が涙をいっぱい流しながら叩いた。

 そして、彼女は出て行った。


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