「魔王になれ、とかふざけんな。」
【魔王になれとか、ふざけんな!】
はい、こんちはー。
俺は小此木史綺。17歳の高校生。
至ってふつーな俺は今、非現実的な事になってます。
「わあぁぁぁーっ!!」
…まあ、何故か光の中を落ちているわけで…。
頭ん中、なんでこんな冷静?
ってか眩しっ!?目が開けられねぇ!!
しかし現実は軽くパニック状態。
何でこんな事になってるんだ自分ん!?
いつもの様にふつーに学校から帰ってる途中だったのに、いきなしピッカーって!!
その理由を冷静に分析出来るわけもなく…、
ただただ不快な浮遊感に身を任せるしかなかった―…。
…、
……あれ?
浮遊感が終わった様で、いつの間にか地面に寝転がっていた。
ゆっくり目を開けてみる…と、
[のわやっ!?]
「おや、目を覚まされましたか。」
目の前に美青年がいた。
いや、本当に目の前。目と鼻の先ってゆーくらいの距離。
今現在もだから現在形のing。
あ、最近の流行りの言葉で言うとなう、か。
とにかく、目の前に知らない人がいた。
ちょっと待てよ…?
俺、これって押し倒されてる…!?
漸く状況を把握して、その腕の間から脱する。
美青年は「おや残念、もう少しの所でしたのに。」と面白そうにクスクスと笑いながら呟いた。
何がもう少し!?
貞操の危機から危うい所で脱せれた自分に拍手を贈ろう!
しかし、剰りの驚きに胸がバクバクといっている。
すると、目の前の危ない美青年が言った。
「ようこそ。
そして覚醒おめでとうございます、魔王様。」
……は?
覚醒?魔王?
何?は?どーゆー事?
ふと周りを見渡すと、全く知らない景色だった。
なんか…悪の根城みたいな内装…。
趣味悪いなあ…。
って、それは置いといて…、
「誰が?」
「貴方様が。」
ニッコリ、と擬音が付かんばかりに微笑む目の前の奴。(最早、奴に成り下げだ。)
「貴方様は、異世界から私めが召喚致しました。此方の世界に来て、魔王としての力が覚醒したのですよ。」
というわけで、魔王として私と世界を征服致しましょう。と、笑顔のまま俺に告げた。とりあえず、充分間を置いて理解した。
「はあぁあぁぁ!?」
俺が魔王!?
いやいや!
【魔王になれ、とかふざけんな。】
(魔王になんて、ならないから!)
「誰がなるかぁぁぁ!」
そう叫んで、俺はこの城から抜け出した。
平凡な俺の特技(特技?)は、無謀な事をやってしまう事。
後でむちゃくちゃ後悔するのだが。