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あの人 あるいは 新たな恋
季節めぐって あれは今年の春だった
数か月ぶりに あの人をみかけた
昼曇りのもと 名も知らない女
ツルツルの赤子に 黒い乳母車
いい歳だろうし 結婚くらいするさ
半年あれば 出産だってするもんさ
私があの場所を 去るまでの間
あの人は何度も 通り過ぎて行った
ある日は夫らしき人が 一緒にいた
嫉妬も略奪の空想も しなかった
いい人そうで良かった そればかりだった
いつの間にか赤子は 髪を生やした
幸せそうなあの人を見ていると
愛と情欲の平衡を感じた。
だがずっと見ていては気色悪かろう
正常な恋は これが最後だろう




