表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/66

第5話 弱腰を断ち切る

 大船(おおぶね)さんに依頼を出して、今日一日護衛してもらう。

 内容はうちのダンジョンの1階層通路の護衛だ。

 通路にあるモンスターのリスポーンを全て潰すつもりだ。


「通路は部屋よりモンスターの質が落ちる。部屋がオーガクラスだとAランクだから、通路のモンスターはBランクだろう」


 大船(おおぶね)さんからそうレクチャーされた。

 まだ、通路でモンスターに出会ったことはないが、どんなモンスターだろう。


 足音が聞こえてきた。

 オーガクラスの巨体のようだ。

 のっそり現れたのは3メートルはあるオーク。


「オークジェネラルだ。【シャープエッジ】」


 大船(おおぶね)さんが斬りかかる。

 オークジェネラルは足を斬られ、立っていられなくなったところで、首を落とされた。


「お見事です。【リフォーム】。ここにモンスターのリスポーンはないようです。どうやら虱潰(しらみつぶ)しにやって行かないといけないみたいですね」

「今までなんの仕事をやってたんだ」

「SEとプログラマーですけど」

「へえ、それがなんでまた」


 大船(おおぶね)さんが魔石を採る間、俺は今までの経緯を話した。


「大変だったな。だが不運はお前さんが引き寄せたとも言える」

「俺が悪いんですか」

「いいや悪くないが、やり方が不味かった。戦うべきだったんだよ。戦いから逃げたから今のお前さんがある」


 裁判するべきだったのか。

 いいやもっと前だ。

 会社で無理なスケジュールの時に受け入れてきた。

 頭ごなしに拒否するのは論外だが、何かしら戦うべきだったんだ。

 俺の弱腰が、尻手(しって)に犯罪を起こさせた。


「はははっ、そうですよね。戦わないと」

「男には退いちゃいけない時がある」

「もう、戦いからは逃げません。よし、俺のスキルを直接攻撃に使ってみよう」

「なんかやる気になったな。サポートしてやる好きにやれ」

「はい」


 次に出会ったのは杖を持ったオークメイジ。


「手早くやらないと魔法を使ってくるぞ」

「はい、分かりました。【リフォーム】」


 オークメイジの立っていた床が、尖った槍になり、オークメイジを串刺しにする。

 オークメイジは脳天まで貫かれた。


「凄いな。ルーキーとしちゃ有望だ」

「でも魔力を4分の1使いましたから、今の規模だと、2時間で4発しか撃てません」

「魔力の回復なんざ、モンスターを狩っていれば、早くなる。思ったんだが、ダンジョンの構造物は不壊って言われるほど頑丈だよな」

「知ってます。モンスターもそうですが、魔力で強化しているんでしょう」

「お前のスキル。ダンジョンの床を使っているよな。槍の魔力はダンジョンが供給してる。だからあんなに強いんだ」


 俺って強いのか。

 リフォームはクズスキルとはがり思ってた。

 今の強さはダンジョンの魔力ありきだけど。


 今日はここまでのようだ。

 戦果はオーク2体。


「おい、バーベキューしようぜ」


 ダンジョンから出ると大船(おおぶね)さんからそう言われた。

 オーク肉は美味いと聞いている。


「ごちになります」


 報道陣も庭に招き入れてバーベキューする。

 オーク肉はとろける美味さだった。


「マスコミのみなさん。俺は言いたいことがある。たしかにダンジョンは何万とあり管理が行き届かないでしょう。だからといって、たった補助金1千万円で放っておくのはどうですか。ここは高級住宅地です。スタンピードが起これば多数の死人が出ます。政府はあまりに無責任ではないでしょうか」

「えー、どうしてほしいと」


 マイクを向けられた。


「金銭や人的な支援が無理なら、技術的なサポートをしてほしい。あたらしい取り組みも支援してほしい」

「新しい取り組みですか。具体的には?」

「まだ分かりませんが、何かできるような気がするんです」

「それが分かったら、我々を呼んで下さい」


 マスコミから名刺を貰った。

 とにかく今は戦う時だ。

 下手を打って劣勢になったが、徐々に挽回できているような気がする。


 でも、何かが足らない。

 この苦境を脱するための決定的なアイデアが。

 誰か相談する人がいたらな。


 俺は区役所に行くことにした。


「ダンジョンで稼ぐ方法ってありますか?」

「ゴミ処理の認可をとることができますが、Dランク以下でないとまず許可は出ません。スタンピードの問題がありますから」

「それ以外だと何かありますか?」

「ダンジョンの戦闘の様子を録画して配信している方もいます。ダンジョンの情報があると攻略のスピードが上がるので、推奨される行為になってます」

「儲かりますか」

「人気がある冒険者さんを呼べればそれなりには」


 この手は駄目だな。

 でも俺が細々と配信するのは良いかもな。

 多少の金になるなら何でもすべきだ。


戸塚(とつか)さん、焼け石に水ですが、フェンスの設置をお願いできませんか」

「スタンピード対策のね。オーガなんかが出て来たら普通のコンクリートのフェンスなんかじゃもたないだろう」

「ええ、30センチの厚みの鉄板でないと」

「無理だ。そんな金はない。それに5メートルぐらいのフェンスだと飛び越えそうだ」

「そうですね」


「もっと、役に立つ情報はないのか?」

「申し訳ありません」


 店でヘルメットにつけられるカメラを買って、これで配信の準備は整った。

 とにかく攻めの姿勢だ。

 ついでにSランクダンジョンの窮状も訴えるか。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し                2,166万円

依頼金          100万円

カメラ            1万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            101万円  2,166万円  2,065万円


相続税        2,000万円

示談金        3,000万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン       -100億円


 フリーのもあるが、動画編集ソフトは既にいくつか持っていた。

 節約できるところはやっていかないと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ