第146話 洗脳
盗聴の結果色々なことが分かった。
裏帳簿の在りかから、賄賂の証言、交通事故のもみ消し。
セクハラのもみ消し工作なんてのもあった。
もう、数を上げれば限がない。
だが、寒川のがない。
用心深い奴だ。
そして、ついに魔力駆動の盗聴器が見つかってしまった。
大騒ぎになったのが盗聴器を通して伝わって来る。
ほぼすべての盗聴器を発見されてしまった。
そして、警察と自衛隊が俺のダンジョンを包囲してる。
奇妙なのは包囲している人間の目が虚ろだということ。
軍畑区長によれば出動の命令書はないという。
洗脳系のスキル持ちの仕業だな。
幸い、第三セクターの建物がダンジョンを囲む分厚い壁だ。
戦車を持って来ても簡単には落ちない。
操られている人をどうにかしないと。
彼らに罪はない。
「彼らの魔力の繋がりが私には見えます」
香川さんの魔力視にはそれが見えるらしい。
「となれば【ネットワークライイング】」
魔力のネットワークを構築した。
操っている魔力が俺の手のものとなった。
遮断するのもお手の物だ。
「はっ、俺は」
人々が意識を取り戻し始めた。
「くははは、この時を待ってたぞ。前に出てきたな戸塚。【ドミネート】」
くっ、頭の中に敵の意識が潜入してくる。
俺が操られたら大惨事になるだろう。
祈りの像には沢山の魔力が溜まってる。
これでリフォームしまくったら、とにかく大変だ。
「【ネットワークライイング】、藤沢頼んだ」
俺は藤沢と意識のネットワーク繋いで、俺の体の制御を藤沢に渡した。
俺の中では藤沢と敵の意識がせめぎ合っている。
俺は何も出来ない。
「あそこです」
香川さんが敵の位置を拝島さんに伝える。
拝島さんはライフルを撃った。
敵の精神攻撃が止んだ。
どうやら勝てたな。
「おい、起きろ。寒川の仕業だな。機会があったら俺の言葉を伝えろ。もうお前の首に手が届くところに行った。首を洗って待っておけと」
犯人の男にポーションを掛けて、俺はそう言った。
「くっ、こんなものでは終わらんぞ」
「連れっててくれ」
精神耐性スキルのある警察官が男を連れて行く。
電話が掛かってきた。
軍畑区長からだ。
「もしもし」
『今回の警察と自衛隊の出動は別件で命令書が降りている。どうやら寒川が命令を出したらしい。野党にリークしたから火が付くぞ』
「ようやく尻尾を出したか。今回のスキル持ちは絶対の自信があったんだろうな」
『暗夜十人衆の頭らしい』
「良く分りましたね」
『そこは裏の情報という奴だな。また何かあったら連絡する』
事態が動き始めている。
さて、いつもの討伐の仕事をするか。
討伐の仕事はトラブルなく終わった。
事務所に帰りテレビを点けると寒川のことをやっている。
野党の代表が、謁見行為だ、職権乱用だとか言っている。
寒川側は出動は正規の手続きに則ったもので違法性はないと言っている。
操られるとは想定してなかったと。
よく言うよ。
子飼いの議員の汚職の証拠も野党に渡っていて、これも追及されている。
こちらは大臣職を更迭すると発表があった。
トカゲの尻尾切りだな。
任命責任を問う声が、与党野党どちらからも出てる。
寒川の政権維持も危なそうな勢いだ。
寒川が支持者に集結を呼び掛けた。
どういうつもりだ。
支持者がこんなにいると世間にアピールしたいのか。
それとも別の意味があるのか。
俺の打つ一手としては、子飼いの議員の証言を待ちたい。
きっと寒川に指示されたという奴が出るはずだ。
賄賂の証拠が、寒川のもとにあったのだから、主導してたのは間違いない。
だが、何か嫌な予感がする。
それが何かは分からない。
そして、首相官邸の前は寒川の支持者で溢れかえった。
寒川は地元には公共工事の恩恵をもたらしている。
地元は大規模公共工事で大景気だ。
こういうことをしているから、選挙では当選できる。
支持者が多いのはこういうわけだ。




