表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

144/146

第144話 近況報告

 討伐はトラブルなく終わった。

 確かにモンスターの数が減っている。

 前は死骸を守るのが大変だった。


 SLEにお邪魔した。


「先輩、久しぶりですね」


 迎えてくれたのは、後輩である辻堂(つじどう)


「ああ、色々と忙しくてな。調子はどうだ」

「もう接待が凄くて」

「そうなのか」

「魔石コーティング事業が色々な分野から引きがあって、仕事の大半を断ってます。それで引きのある会社が接待してくれるので、これがもうなんというか」

「飲まれるなよ」

「僕は所詮、雇われですからね。やらかすと首を斬られます。自分の実力は分かってます。社長の器じゃないってね」

「それが分かっていれば良い」


 クレームがついた包丁は作ってないらしい。


「包丁ですか? あれは仕事としては美味しくないです。なんといっても美味しいのは公共事業ですね。橋の橋脚とか魔石コーティングしてます。錆や腐食に強いらしいです」

「公共事業か。賄賂は贈るなよ。捕まっても弁護しないぞ」

「法律を破るようなことはしません」


「思考入力OSはどうだ」

「試作品なら出来てます」

「そうか。OSで天下を取れるなんてな。夢のようだ」

「まだ天下を取れるとは限りません」

「そうだな油断は禁物だ」


 SLEは問題ないな。

 パラダイスサイバーの被害者に賠償金を払ってもお釣りが出るどころか、その何十倍も稼いでる。


 続いてウルトラソフトウェアにお邪魔した。


「思考入力の関連機器は売れてます。ところでSLEとの合併話はほんとうですか?」

「そんな話はなかったが」

「まだ噂なんで、水面下で動いているのかも知れません」


 じゃあ、そのうち打診がくるな。

 SLEの名前はパラダイスサイバーで最悪になったから、名前を変えるのも良いかも知れない。


「パワードスーツと魔道具はどうなっている?」

「パワードスーツは駄目ですね。しょせんロマン武器です。工事現場とか肉体労働の現場にはぼちぼちと売れています。魔道具は魔力銀行の仕様変更が大変で、そっちに掛かり切りになってます。魔力銀行は大得意様なんで断れません」


 まあ、そうなるよな。

 思ってた通りだ。


 次に魔力銀行に行った。


「魔力を1億円分買いたい」

「えっ、確認を取って参ります」


 しばらく待たされて、偉そうな人が出て来た。


戸塚(とつか)様ですよね。頭取の香川(かがわ)から、まいどありがとうございますと言伝がありました」

「売ってもらえるんだよな」

「それはもう」


 祈りの像に魔力を移す。

 女子銀行員の目が点になっていたのは面白い。

 1億ぐらい、べつに珍しくないだろ。

 だが、売る方はともかく買う方は珍しいのかなとも思った。


 魔力を移すだけで大変だ。

 だが、何かのために魔力は必要だ。

 こういう機会をこれからは定期的に設けたい。


 あと行く所は、古里(こざと)さんの所だな。


「どうだ?」

「何がどうだのだか、さっぱり分かりません」


「調子は?」

「報告書を上げてるよね。見てないの」


「見てるけど」

「忙しいのよ」


「ファンドのセールスは終わったのだろう」

「各方面から第2期の募集はまだかと矢の催促。こんな所で油を売っている暇があるなら、早く第3階層を解放して欲しいわ」


「ペースがあるんだ。命がけの仕事だから、ペースは崩したくない」

「でいつ頃から可能?」

「約40日後からかな」

「遅い!」


「いや、今が売り時ってのは分かるけど、焦るな。まだ第3階層だぞ。少なくても10階層まではやるつもりだ」

「仕方ないわね。別の手を考えましょう。ダンジョン産の素材の商品相場の開設よ」

「それは大ごとだな。魔力銀行並みに大変だと思う。古里(こざと)さんのキャパシティじゃどうにもならないだろ」

「人を使えばいいじゃない。ヘッドハンティングよ」

「じゃあ、ファンドの利益の何パーセントかはそっちの事業に出資しろよ。潰れても出資なら紙屑になって損するだけだ」

「火は被らない方向でということね。分かったわ」


 ダンジョン産素材の商品相場ねぇ。

 きっと冒険者協会が噛ませろと言って来るに違いない。

 綱引きみたいな交渉が始まるんだろうな。


 そんな仕事は御免だ。

 そういうのは出来る人に任せよう。

 ダンジョン素材が穀物並みになるとはな。

 もっとも市場規模からすればあってもいい規模だ。

 ただ、採れる素材がダンジョンやモンスターによって違う。

 それに肉は貯蓄できないから商品相場には向かない。


 毛皮とかになるんだろうな。

 いや、最初は魔石からか。

 これは共通規格みたいな物が簡単に作れる。

 大きさで等級を区切ったりできる。


 何にせよ、俺は一切関与しない。

 好きにやるといいさ。

 潰れてもファンドの業績はそんなに変わらないはずだ。

 責任は古里(こざと)さんが取るだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ