表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

142/145

第142話 位牌

 今日は討伐が休み。

 門沢(かどさわ)さんはダンジョンの部屋でゆっくり休めただろうか。

 インターホンを鳴らす。

 返答がない。

 くっ、刺客が来たのか。

 しつこくインターホンを鳴らす。

 そして、何でもないかのように扉が開いた。


「おはようございます」

「おはよう。出ないから心配しちまった」

「ああ、芽生えたスキルを使ってたのです。レミニセンスというスキルで過去のことが見られるんです。さっきも無き父と母の生前の姿を見てました」

「へぇ、それは、他人にも使えるのか?」

「ええ、スキルを調べてくれた香川(かがわ)さんに試しましたけど、他人も思い出せるらしいです」


 思い出し屋とかやったら儲かりそうだな。

 過去の記憶をまた見たいという人はいるはずだ。


 あれっ、これで鍵の在りかが分かるんじゃないかな。


「俺にスキルを掛けてくれ。門沢(かどさわ)さんの家に行った日のことだ」

「いいですよ。【レミニセンス】」


 おお、あの日だ。

 扉を開けられて中に入る。

 仏壇のある部屋に案内されてお線香をあげる。

 ちょっと待て、なんで位牌がない。


 俺はスキルを中断した。


「位牌は? 位牌はどうなっている?」

「位牌なら机の上にあります」


 机の上には白木で出来た位牌が載っていた。

 たしかに位牌だ。


「お線香を上げに行った日には無かったよな」

「ええ。この位牌は葬儀屋さんから昨晩届きました」


 あれっ、位牌ってそういうものだったかな。

 何かおかしい。


「位牌って黒いのじゃなかったか」

「これは野位牌ですよ。黒塗りのは本位牌です」

「お母さんの位牌は?」

「母やお爺ちゃんやお婆さんの位牌は、一つの位牌に纏まってます。本来、位牌って死んだ人の人数分あるみたいですが、ひとつにできるのですよ」

「詳しく説明してくれ」

「繰り出し位牌って言うんですが、ひとつの位牌に板が何枚も入っていて、その板の一枚ずつに戒名が書かれてます」

「じゃあ、お父さんの戒名もそこに加わるわけだ」

「ええ」

「その繰り出し位牌はどこに?」

「お寺のお坊さんに預けてます。父の戒名を加えないといけないので」

「それだ。鍵は位牌の中だ」


 お寺にタクシーで駆け付ける。

 お坊さんに位牌を返してもらう。

 位牌上部の蓋を開けると何枚も白木の札が入っていた。

 使ってない札の一枚に鍵がはめ込まれていた。

 そして銀行の名前が。

 貸金庫の鍵だろう。


 位牌の中にあったとはな。

 考えてみれば、死ねば必ず開けて確かめる人が出てくる。

 隠し場所としてぴったりだ。


 銀行に急いで、隠し金庫を開けて貰う。

 裏帳簿や、賄賂の証拠がたくさんあった。

 ただ、ざっとみたところ、裏帳簿はともかく、賄賂は寒川(さむかわ)のものではなかった。

 子飼いの議員のだ。

 寒川(さむかわ)証拠もどこかにあるに違いないが、おそらく門沢(かどさわ)さんはその担当ではなかった。

 そう考えるのが自然だ。


 銀行からの帰り道。

 道路に人が立っていた刺客だな。


 おそらく銀行から連絡が行ったのだろう。

 門沢(かどさわ)さんがここの隠し金庫を使っていたのを知っていたに違いない。

 あり得ることだ。

 ただ、ここに証拠があるという確証がなかったから、銀行強盗もしなかった。

 今日俺達がのこのこと来て分かったということなのだろう。


 タクシーがブレーキを踏んで減速、クラクションを鳴らす。

 路上の刺客は、こっちに駆けだして、タクシーにショルダータックルをかました。

 タクシーごと吹き飛ばされる俺達。


 幸い俺達に怪我がなく、タクシーは止まった。

 くそっ、万事休すか。

 シートベルトを外してタクシーから出る。


 その時、銃声がして刺客が吹き飛んだ。

 藤沢(ふじさわ)が歩いて来た。


「銀行に行くという連絡を貰った時に嫌な予感がして。みんなと狙撃ポイントを潰して回っている最中だったんですよ」


 ああ、番田(ばんだ)さん辺りが刺客を見つけて狙撃したわけか。

 おっと、証拠隠滅しないとな。

 刺客の傷口にポーションを掛ける。

 傷口は治った。

 服の穴は塞がらないが、すっとぼけるに限る。

 どうせ刺客は何も喋らない。


 タクシーの運ちゃんの証言もあるから、タクシーに襲撃を掛けたのは明らかだ。

 運が悪ければ死んでた。

 殺人未遂が成り立つ。

 何年か刑務所に行ってこい。


 さて子飼いの議員を虐めるとしようか。

 子飼いの議員はみんな政府の要職に就いている。

 寒川(さむかわ)にも大打撃のはずだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ