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第139話 消えた証拠

 今日は討伐が休み。

 門沢(かどさわ)の娘さんが妙に気にかかる。

 会いに行こうとしたら。


「どこに行くんですか?」


 藤沢(ふじさわ)に問い詰められた。


「死んだ寒川(さむかわ)の秘書がいるだろ。その娘さんに会いに行く」

「むっ」

「別に恋愛感情はない。ただ寒川(さむかわ)の悪事を暴きたいだけだ」

「一緒に行きます」


 さて、どういう口実で会いにいこう。

 私立探偵からメールが来た。

 娘さんの家の近くに怪しい車が停まっているそうだ。


「危険だ。急ぐぞ」


 急きょ転移の罠の行先を、門沢(かどさわ)さんの家に変更。

 転移した。


 玄関の扉が開いている。


「お邪魔しますよ」

「お邪魔します」


 二人で入るとくぐもった声が聞こえた。

 現場に踏み込むと娘さんが男にワイヤーで首を締められている。

 俺は魔石コーティングされたナイフでワイヤーを斬った。


「げほげほ、はぁはぁ」


 とりあえず意識はある。

 ワイヤーの男は、何本ものワイヤーを触手のように操った。

 そういうスキル持ちか。

 だがここは室内。


「【リフォーム】、拘束」


 魔石を糸に変形。

 男を縛り上げた。


 藤沢(ふじさわ)は警察に電話してる。

 門沢(かどさわ)の娘さんを安全だろう部屋に移す。


「ありがとうございます。私、あなたを憎んでました。それなのに助けてくれるのですね」

「こっちは情報が貰えるかもしれないという打算だ。気にすることはない」


「先輩、犯人を警察に引き渡しました」

「お疲れ」

「場所を移しませんか」


「そうだな。とりあえず、この家は危険だ。引っ越した方が良い」

「分かりました。私、越子(えつこ)と言います」

「俺は戸塚(とつか)。こっちは藤沢(ふじさわ)だ」

「よろしくね」


 ホテルまでガードする。


「マッピングスキルに敵の表示はないか?」

「ありません。特殊なスキルを使われない限り尾行はされてないはずです」

「あの。父の手帳をあなたに託したいと思います。それと父のパソコンのデータをUSBメモリに入れておきました」


「ありがたく使わせてもらうよ」


 貰った手帳とデータを分析する。

 とりあえず違法性があるような物はない。

 日々の予定と主に礼状などのやり取りのデータだ。


 詳しく分析しないと分からないが、寒川(さむかわ)失脚のヒントはない。

 娘さんはなぜ襲われたのだろう。

 このデータに鍵があるのかな。


 やれることは今はない。

 軍畑(いくさばた)区長にもデータを送ったから、そっちでも人脈とかを調べるに違いない。

 結果待ちだな。


 私立探偵からまた連絡が来た。

 門沢(かどさわ)さんの家に引っ越し業者が来たらしいが、それがおかしいらしい。

 ナンバープレートが隠されていて、業者の名前も登録されてないようだ。

 夜逃げの業者かな。


 門沢(かどさわ)さんに連絡すると業者なんか頼んでないという。

 転移して駆け付けると、家の物は全て持ち出されてた。

 くっ、やられた。


 ということは、門沢(かどさわ)秘書は何か証拠を隠していたらしい。

 それが家のどこかにあったのだろう。

 盗られたものは仕方ない。


 門沢(かどさわ)さんは銀行口座とかを凍結したりキャッシュカードを変更したりした。

 だが、金は一銭も盗られてないらしい。

 金銭目的でないのははっきりした。


 そしてまた動きがあった。

 こんどは白アリの業者だ。

 駆け付けるともう既にいなかった。


 床下に入る板が外され、地面が掘り起こされている。

 天井も調べたらしい。

 天井に入る板も外されてた。


 ということは相手のお目当ての物はまだ見つかってないらしい。

 どこに隠したのだろう。

 貸し倉庫、コインロッカー、今の世の中は品物を預かってくれるサービスは色々とある。

 となると探しているのは地図か鍵だろうと思われる。


 門沢(かどさわ)さんに心当たりはないらしい。

 消えた証拠か。

 どこにあるものやら。


 敵はどうくるかな。

 もう家探しには来ないだろう。

 となると門沢(かどさわ)さんが危ないな。

 証拠に繋がる鍵は彼女が持っているに違いない。

 探すように頼んだが、身の回りの品物しか持ってないそうだ。

 小さいものなら、どこにでも隠せる。

 これを探し出すのは容易ではないな。


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