表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/65

第11話 トラップ

「停まれ!」


 大船(おおぶね)さんが警告を発した。


「何です?」

「トラップだ。そこの少し先、石の色が違うだろ。こんな分かり易いのは低階層だけだがな。ほらよ」


 大船(おおぶね)さんが小石を投げると、槍が何本も地面から突き出た。

 ふう、危うく串刺しにされるところだった。


「【リフォーム】。トラップは潰しました」

「念のためだ」


 大船(おおぶね)さんが再び小石を投げる。

 今度は何も起きなかった。


「階層が進んだら、トラップはどうしたらいいんですか?」

「勘だな。勘で避けろ。それか罠探知のスキルを持った奴に頼れ。ソロでやれるのは低階層だけだ」


 トラップ対策は低階層を抜けたら考えよう。

 結局はありそうだという勘が全てか。


 トラップをリフォームスキルで潰せるのが分かったのが、収穫かな。


 オークナイトが前方からやって来る。

 有利な位置取りのために俺達が少し下がると、オークナイトとトラップの前で止まった。

 こいつらトラップの位置を把握してやがる。

 でもそこは既に潰した場所だ。


 オークナイトが来ないので、遠距離から串刺しにする。

 トラップゾーンを跡を上手く使えば安全地帯ができるな。


「ダンジョンは修理したりしないんですかね」

「しないな。聞いた事がない。トラップも壊せばそれっきりだ」


「ダンジョンのアップデートはないんですか?」

「ないな。地形が変わったりはしない」


「神は馬鹿なんですかね」

「いいや、俺は人類を愛していると思っている。文明が進み過ぎておかしなことになったから、修正したいのだろう」


「地震やゴミ問題やエネルギー問題を解決してますからね」

「ただ、神は人間個人の一人一人はどうでも良いらしい」


「文明を作り変えるように軌道修正してるわけですか」

「そうだな。そう思う」


 神の思惑は分からない。

 だが俺はそれに振り回されている。

 文句をいうと環境破壊を止めなかったお前が悪いと言われそうだ。


 事実、俺は子供の頃、環境破壊のニュースを見ても活動をしようとはしてなかった。

 大人になってもしていない。

 文句を言うことはできないってことだな。


 このダンジョンにあるモンスターリスポーンを全て潰したら、神は何か言って来るのだろうか。

 たぶんダンジョンがひとつ潰されても何も思わないのだろうな。

 そんな気がした。


 安全地帯を利用してオークを何体か倒して今日は上がりだ。


 励ましの手紙は相変わらず届いている。

 最近はこれに目を通すのが楽しみだ。

 スタンピードの時にモンスターに足をやられ、歩けなくなった少年からの手紙がある。

 手術する勇気がありませんと書いてあった。

 手術に失敗したら足の切断も視野にいれないといけないそうだ。


 失敗を恐れて手術をしない選択肢。

 失敗を恐れずに挑戦するべきか。

 俺にはどっちがいいのか分からない。


 挑戦するべきだとは軽々しく言えない。

 俺は手紙を書き始めた。


 歩けない生活に慣れるのもチャレンジだし。

 手術を選ぶのもチャレンジだ。

 どっちもチャレンジだから、よく考えてよりやりたい方を選ぶべきだと書いた。


 俺は養殖部屋を覗いた。

 ポーションが出ていれば一緒に送ってやろうと思ったからだ。


 運のいいことにポーションが出ていた。

 手紙と一緒に少年の下へ送った。


 別の手紙にはエリクサーが必要ですと悲痛な訴えがあった。

 考えた。

 これが上級ポーションだったとして少年と同じように送るべきだろうかと。


 少年にポーションを送ったのは軽率だったか。

 線引きを考えないといけない。

 養殖部屋が完成すれば毎日のようにポーションは手に入る。

 無償で譲るのは違うと考えた。

 できるだけ市場に流して、価格を下げる方向がいいと思う。


 藤沢(ふじさわ)に相談することにした。

 経緯を話すと。


「慈善事業をやるならまず自分を救ってからよ。自己犠牲は美しいけど、破滅したら周りに悲しみを作ってしまう」

「そうだな。俺自身を救わないことには話は進まない。非情だと思う人もいるかも知れないけど、そういう人は文句を言わず、自分が誰かを救えば良い」


 俺は少年に手紙を追加で書くことにした。

 内容は『ポーションのことは他の人には内緒にして下さい、無理にとは言いませんが、返還するかあなたが成長したら、払ってくれると嬉しいです』だ。

 ポーションの押し売りみたいになってしまったが、なんとなくこれでいいんだという気持ちになった。

――――――――――――――――――――――――

俺の収支メモ

              支出       収入       収支

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

繰り越し                1,234万円

依頼金          150万円

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

計            150万円  1,234万円  1,084万円


相続税        2,000万円

示談金        3,000万円


遺産(不動産)         0円

ダンジョン       -100億円


 残り、1千万円ちょっと。

 なんだか金が減っても動じなくなった。

 変なテンションになっているとも言える。

 だから少年にポーションを送ってしまったのかも知れない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ