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カマキリにあっておどろいた

作者: みなはら


『カマキリにあっておどろいた』



今日は外で仕事をする日

いろんな生き物と出遭う日でもある


動物に会うことはまず無いけれど、

この間はネズ公がしんでいたのを見かけた


鳥は烏や、雀のような小鳥と出会う

鳥は眼が良いので、目が合うとすぐ逃げていく


目を合わさずにしばらくその場にいたあとで、

そっとそちらを見直すと、雀たち小鳥はすぐさま飛んで逃げゆくのだった


その場で逃げずに見返してくるのは烏だけ

カラスはじっとこちらを見定める

目を合わすと絡まれる、下っ端のチンピラを思わせる怖さがあるのだ



虫は本当にいろんなものが現れてくる

茶色のGは飛んで逃げる、

今のような暑い日になるほど元気で素早くなるから困る

天敵のゲジゲジやムカデもときおり現れる


蝿はうっとうしく纏わり付いてくる

蚊はほとんど見かけない、世の中が暑すぎるからなのだろうか


素早く飛び周囲を巡る牛虻は少しこわい

ウシアブのエメラルドのような眼はとても綺麗だが、

背などに留まって刺されるととても痛いので、

見かけるとすぐに手で追い払う


アシナガバチとスズメバチは、危ないからなるべく避ける

今は巣造りの場所を探しに彷徨いたりしているのをときおり見かけるが、

留まりそうな時にはそっと手で追うのだ

威嚇に取られないようにそっと払う



今は蝉の大合唱が響き渡る

夏の風物詩、やっとその季節が訪れた

頬を流れる汗と共に、アブラゼミやミンミンゼミたちの蝉時雨を全身で浴びる


梅雨の頃には蛞蝓や蛭を見かけたこともある


蜻蛉は少し前に通り過ぎてゆくのを見かけた

黒っぽい姿はオニヤンマだろうか

秋が近づけばハグロトンボや赤トンボも来るだろう


カブトやクワガタはここでは見かけないが

コガネムシは最近多くなってきて、時折踏んづける

なるべく避けるのだけど、踏んだ時の感触は前にサワガニを踏んだ時と似ていて、

小石を踏んでしまったと勘違いして見ると、

エメラルドグリーンの姿がそこに在り、驚きと共に済まない気持ちが混じりあう


バッタやキリギリスなどの大きいものは、見かけたら捕まえて、なるべく外に逃がしてやる

跳び回っていると気になり、仕事の集中を乱すからだ



そして今日、初めてカマキリに出会った

会ったのは二匹で、どちらも目の前で居るのに初めて気づいた

ひとつは人差し指の長さくらいの、薄緑色のオオカマキリの子ども

もうひとつは小指より大きな、枯れ葉色のコカマキリの大人だ


コカマキリはすぐ外に逃がせたけれど、

オオカマキリの子どもはタイミングが合わないため、

直ぐには逃がせずに、とりあえずゴミ入れへと移して入れておいた

後で逃がそうと思ったのだ

薄緑色の綺麗な姿にはまだまだ羽根はなく、

翔ぶことが出来ないなら、逃がすまでそこに留まって居るだろうと信じて


それでもカマキリの子どもは、どうにかゴミ入れの壁を越えて、しまったつもりの容れ物から逃げだした

どこに行ったかというと、初めに見つけた高いところを目指す

オオカマキリもコカマキリも変わらずに、

何故かなるべく高いところへと陣取っているのだ


エサとなる虫をいち早く見つけ、捕まえるためだろうか

それともその高いところには虫が寄ってくると判るのか感じるのか



カマキリの理由は知らないけれど

そのゴミ入れから逃げだしたオオカマキリの子どもは、

そこに在る高いものを目指して登ったのだ

立って仕事をしている自分の上へと(・・;)


カマキリがゴミ入れから逃げだしたことを知らない自分は、

どうやってか、自分へと登っていたオオカマキリにまったく気づかなかった


ふと下を見ると、薄緑色の細長い何かが自分の胸にあって、

かなり素早く、首から顔の方に上がって来ようとする途中だった。



逃げだしたオオカマキリの子どもだとは判らずに、

「うわっ!」と小さく叫んでその何かを払い落として見ると、小さめのどこかで見たカマキリ


苦笑いと共にため息を漏らし、オオカマキリの子どもを外に逃がすけれど、

もうどこかに行ってしまったコカマキリの大人と違って、

オオカマキリの子どもは、そのあとも何故かまたこちらへと戻ってきたのだ


ふと見ると、どこかで見たようなものカマキリがこちらへと近づいている


呆れると共に今度は、

今までよりもだいぶ遠くの場所へと、カマキリの子どもを置きに行ったとさ(^_^;)


そのあとは、

さすがに今度は、カマキリの子どもは自分のところへと戻っては来なかった



めでたしめでたし♪(*^^*)



そんなこんなで一日が終わる


きのうの県庁所在地では、また今年の最高気温を塗り替えていたのをニュースで観ていた

今日もその日と同じくらい暑かった


きっと明日も同じくらい暑いだろう


今日の出来事をしたためながら、渋くなった目と微睡みに委ね眠りにつく



寝苦しくなってきた夜と、

酷暑の訪れる夏の朝へと向けて……





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