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令和人、命がけの排泄と船酔いに苦悶する

セナがこの船のクルーになって数日が経過した


現代知識を用いて大航海時代を無双、クルーは全員セナを尊敬の眼差しを向け、もう彼女なしでは生きていけない身体に・・・

なんてことはなく現実は非情だった



この数日でいくつか壁にぶつかった出来事がいくつかある


「あのぉ~トイレってどこにありますか?」


セナは催してアマリアに尋ねた


「ああ、トイレはここだよ」


アマリアはセナを船首の方に案内し指さす

そこにはもちろん個室のようなものは見当たらなく


「え、嘘ですよね・・・タイタニックするところで用を足すの?」


セナの問いにアマリアは首を傾げ


「タイタニック?何を言っているかよくわからないが、ここでするぞ」


刹那、セナは絶望した

ゴー〇ングメリー号の羊の頭部分にあたるだろうか、ヘッドと呼ばれそこで用を足すらしい

安定した体勢で用を足すための便器もなければ、周囲から視界を遮る個室もない

悪い冗談かと思ったけど、割と糞尿の匂いがするのが、真実を語っている


アマリアが見本を見せるかのように、目の前でズボンを脱ぎ


「じょろろろろぉぉ」


一切の恥じらいをなく、海に向かって用を足していた

アマリアは出し切るとスッキリしたような満面の笑みを浮かべる


「ふうっ」


陰部を素手で拭くと、その手を洗わずそのままズボンを穿く


(あのさぁ、水洗トイレとトイレットペーパーって革命だったんだな…(涙目))


「さあ、次はセナの番だ!はじめてはいろいろ大変だと思うから、何があってもいいように私が見守ろう」


セナはアマリアに見守られながら用を足すことになった

セナは恥ずかしさでもじもじしながらも、ズボンを脱ぎ、用を足す姿勢をとる

波で不規則に揺れる足場と風で不安定な状態で踏ん張る


「ッッざっっっけんな!!高所恐怖症にはトイレすら罰ゲームなんだけど!?」


バランスを崩せば海に落ちる状態で怯えながら用を足した


「排泄するからには命賭けろよ、そいつは安息の道具じゃねえって言っているんだ」


セナはまた一つ尊厳を失った



また別の日、


──波がうねっていた。


いや、正確には波がうねっているのではなく、自分の内臓がうねっていた。

上下に、左右に、斜め45度に


「……あれ……? なんか、床が、揺れて……」


「揺れてるんじゃねぇよセナ、お前が揺れてんだよ。あと青白ッ!」


ヴェリーナが豪快に笑いながら、樽を蹴って椅子代わりにして座る。


その笑顔が回る。

ヴェリーナが3人いる。

回転寿司か。


「わたし…回されてる……?」


違う、酔ってるんだ。


船室の隅、セナは身を丸めて吐くでもなく、倒れるでもなく、ただ無言で床を見つめていた。

口を開くと何かが出そうなので、呼吸だけで生きている状態


長期の航海は、令和人であるセナにとって体力的にキツイ

しかし船を降りるわけにもいかない

服のカビ臭い匂いに慣れてきたのが唯一の救いである


そこへ現れたのは、ペストマスクをつけた白衣の女性

船医のミネリアだ


「船酔いくらいでウダウダ言うんじゃない!!それでも海賊か!!」


ミネリアはセナに一括を入れた


(こっちは海賊歴数日のド素人なんですけど!!厳しすぎない!!)


と思ったが、いろいろこみあげてくる何かと一緒に飲み込んだ

豆腐メンタルな令和人にとって、効果は抜群だった


セナは朦朧とする意識の中、


「よ、酔ぃ止めぉくれぇぇぇっー!!」


必死に手を伸ばそうとするが、


「触るな!!菌が移る!!」


その手が届く前に叩き落とされ、吐き気とともに崩れる。

セナの時代なら悪口で使われる言葉だが、この劣悪な環境では正論に感じる


「はあぁっ」


ミネリアは大きな溜息をつくと、


「ったくだりぃな、薬取ってくるから待ってろ」


はっきりボソッと気だるそうな声を出しながら


(この人苦手だなぁ、とりあえず治してくれれば、どうでもいいや)


なんてことをセナは考えながら、待っていると


「ほら持ってきてやったぞ、ありがたくさっさと飲め」


ミネリアは茶色い液体の入った木製のジョッキを持ってきた

飲み薬かしら・・・

セナはそのカップを受け取ると、縁に口をつけ、思い切ってひと口

・・・刹那、喉が焼けた


「これラム酒じゃねぇかああぁぁぁ!!このヤブ医者があぁぁぁぁ!!」


「何を言っている、酒を飲めば大抵なんとかなる、常識だ」


実際ラム酒を飲んでから、頭痛や吐き気はなくなった

これを治ったというには、語弊があるが・・・


「んなわけねぇだろぉぉ!!迎え酒に科学的な根拠がないくらい常識だろぉぉぉ」


セナは胃と肝臓に大ダメージを受けた


「帰りてぇぇぇ……」



ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。


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